2007 Fiscal Year Annual Research Report
腐朽有機物由来の易溶性腐植物質の性状解明と土壌中での動態解析
Project/Area Number |
19580063
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
青山 正和 Hirosaki University, 農学生命科学部, 教授 (60150950)
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Keywords | 腐植物質 / 土壌 / 堆肥 / 植物遺体 / 腐朽有機物 / 腐植酸 / フルボ酸 / DRIFTスペクトル |
Research Abstract |
腐朽植物遺体や堆肥きゅう肥のような腐朽有機物に由来する易溶性腐植物質の性状を解析する手法を確立することを目的として、拡散反射フーリエ変換赤外分光法(DRIFT)ならびに逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)を適用した性状解析法を検討した。堆肥と土壌から調製した腐植酸とフルボ酸についてDRIFT法により赤外線吸収スペクトルを測定し、コンピュータ上でデコンボリューションプログラムとピークフィッティングプログラムを用いて個別ピークに分離することにより、脂肪族成分、芳香族成分、カルボキシル基成分ならびに多糖成分の各ピーク面積を推定することが可能となった。各ピークの面積は、固体^<13>C NMRスペクトルから推定した脂肪族炭素、芳香族炭素、カルボキシル基炭素ならびに多糖炭素の量と有意な正相関を示した。また、DRIFT法により、ペプチド鎖ならびにリグニン由来成分の多少も推定可能であった。RP-HPLCを適用して腐植物質を親水性・疎水性が異なる5画分にわけ、DRIFT法で解析したところ、各画分の化学的性状は大きく異なることが認められた。以上のように、DRIFT法およびRP-HPLCが微量の腐植物質のキャラクタリゼーション手法として優れていることが判明した。そこで、腐朽植物遺体、堆きゅう肥および土壌から抽出した易溶性腐植物質についてDRIFT法とRP-HPLCを適用して検討を行ったところ、土壌の易溶性腐植物質はカルボキシル基成分に富んだ親水性成分が主体であったのに対して、腐朽植物遺体と堆きゅう肥の易溶性腐植物質はペプチド鎖を多く含んだ疎水性成分の割合が高いことが認められた。土壌の易溶性腐植物質はフルボ酸成分が主体であったが、腐朽有機物の易溶性腐植物質は腐植酸成分をかなり含んでおり、このことが土壌と腐朽有機物の易溶性腐植物質の化学的性状が異なる原因となっていると考えられた。
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