2009 Fiscal Year Annual Research Report
腐朽有機物由来の易溶性腐植物質の性状解明と土壌中での動態解析
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19580063
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
青山 正和 Hirosaki University, 農学生命科学部, 教授 (60150950)
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Keywords | 腐植物質 / 土壌 / 堆肥 / 重金属 |
Research Abstract |
1.土壌から抽出される易溶性腐植物質は低濃度であることから、簡易な腐植物質濃縮法を検討し、市販のDEAEカートリッジを使用した吸着クロマトグラフィーによって易溶性腐植物質を分離・濃縮する手法を確立した。この方法によって濃縮したサンプルについて高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)と拡散反射フーリエ変換赤外分光法(DRIFT)を適用することにより、土壌の易溶性腐植物質の性状解析が精度よく行えるようになった。この方法によって調製した易溶性腐植物質試料を用いて二次元電気泳動を行ったが、易溶性腐植物質の大部分がゲル上に展開できなかった。これは、易溶性腐植物質の多くがフルボ酸相当の成分であり、等電点が低いためと推定された。 2.農家リンゴ園に設定した堆肥表面施用区と無施用区の土壌を経時的に採取し、易溶性腐植物質を抽出してDEAEカートリッジで濃縮後にHPSECとDRIFT法によって解析したところ、堆肥施用土壌の易溶性腐植物質はやや分子サイズが大きく、構造的にはペプチド鎖が多いことが認められた。 3.銅濃度の異なるリンゴ園土壌について、材料の異なる3種類の堆肥から水抽出とDEAEカートリッジ濃縮によって易溶性腐植物質を調製し、バッチ法による銅の可溶化を検討した。その結果、いずれの堆肥の易溶性腐植物質も土壌に集積した銅を可溶化することが認められたが、同一のTOC濃度で比較すると、堆肥の材料のちがいは大きくなかった。一方、実際のリンゴ園において堆肥施用が銅の可溶化に影響しているかどうかを検討したが、効果は判然とはしなかった。 4.微量金属元素を集積する性質のあるカラシナを用い、これに堆肥から調製した易溶性腐植物質ならびに銅イオンを量および組み合わせを変えて施与してガラス室内で水耕栽培し、植物による銅吸収に及ぼす易溶性腐植物質の影響を評価した。しかし、植物による銅吸収に及ぼす堆肥由来易溶性腐植物質の効果は小さかった。
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Research Products
(3 results)