2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19580075
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五味 勝也 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 教授 (60302197)
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Keywords | 菌類 / 遺伝子 / 発現制御 / 転写開始機構 / 解糖 |
Research Abstract |
(1)麹菌のEST解析ならびにゲノム解析の結果、エノラーゼ遺伝子(enoA)の5'非翻訳領域(5'UTR)に440bpという長いイントロンの存在が予想され、培養条件によって異なる転写開始点が利用されている可能性を見出した。また、同様にグリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素遺伝子(gpdA)でもenoAほど厳密ではないが、条件により離れた転写開始点を利用していることが示唆された。液体培養(各種炭素源培地、炭素源飢餓培地)において、転写開始点を解析したところ、炭素源飢餓および酢酸やエタノールのような糖新生を伴う炭素源の液体培養では、翻訳開始点の上流-530bp付近から主として転写が開始され、5'UTRにある440bpのイントロンがスプライシングされ、グルコースやフルクトースのような解糖に関わる糖類を炭素源とする培養では、イントロン内の-50bp付近から転写されることが明らかとなった。 (2)麹菌のenoA遺伝子のプロモーター領域の欠失変異株を作製し、グルコースおよび酢酸を単一炭素源とする培地で培養した際のレポーター活性を測定した。上流の転写開始点周辺まで欠失させてもグルコースで培養した場合にはプロモーター活性の低下は認められないが、酢酸で培養した場合には活性が低下することが明らかとなったことから、酢酸のような糖新生を伴う炭素源の存在下では転写開始に関与する転写因子が解糖系の場合と異なる可能性が示唆された。 (3)enoAおよびgpdA遺伝子の正確な転写開始点(上流および下流)を決定するとともに、他の遺伝子についても培養条件が異なる場合に転写開始点に違いが認められるか調べることを目的として、液体培養と固体培養で培養した菌体から調製したRNAを用いて、5'-SAGEを行うことにより発現遺伝子の網羅的な転写開始点解析を行った。得られた解析データのゲノム情報へのマッピングを行った。
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