2008 Fiscal Year Annual Research Report
パントテン酸キナーゼによる古細菌の細胞内コエンザイムA調節機構の解明
Project/Area Number |
19580079
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
長南 茂 Ibaraki University, 農学部, 准教授 (70312775)
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Keywords | パントテン酸キナーゼ / 古細菌 / コエンザイムA |
Research Abstract |
本研究の長期的な最終目標は全生物の細胞内コエンザイムA濃度の調節機構を解明することである。5段階から構成されるコエンザイムA生合成系は、通常初発反応を触媒するパントテン酸キナーゼによって調節されており、真性細菌で3つのタイプ、真核生物で1つのタイプの存在が報告されている。しかしながら、古細菌ではパントテン酸キナーゼが未だに見つかっておらず、古細菌のコエンザイムA調節機構はブラックボックスのまま残されていた。 今年度は、平成19年度に好熱好酸性古細菌Picrophilus torridusのゲノムDNA上に見出されたパントテン酸キナーゼ候補遺伝子、PTO0232の解析を行った。まず、PTO0232遺伝子をpUC118のlacプロモーターの下流に挿入後、大腸菌のパントテン酸キナーゼ温度感受性変異株(ts9株)に形質転換し、本形質転換体の生育相補試験を行った。本菌株はパントテン酸キナーゼ遺伝子に変異があり、30℃では生育できるが37℃では生育できないという性質を持っている。その結果、PTO0232遺伝子はts9株の37℃での生育を明らかに相補することが分かった。そこで次次にPTO0232の発現プラスミドをpET-28a(+)を用いて構築し、大腸菌で組換えPTO0232を発現させ、電気泳動的に均一に精製した。精製酵素の酵素学的諸性質を解析したところ、PTO0232は至適温度を55℃および至適pHを5にそれぞれ持つパントテン酸キナーゼであることが分かった。本酵素は大腸菌のパントテン酸キナーゼ(EcCoaA)に代表される原核型Iに属するが、PTO0232はEcCoaAで観察されるCoAあるいはアシル-CoAによる最終生産物阻害を全く受けなかった。反応動力学などその他の諸性質に関しては、現在、解析中であり、P. torridus以外の古細菌からのクローニングも併せて行っている。
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Research Products
(2 results)