2007 Fiscal Year Annual Research Report
ポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子の導入による多価不飽和脂肪酸分解過程の解明
Project/Area Number |
19580080
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
前田 勇 Utsunomiya University, 農学部, 准教授 (10252701)
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Keywords | 不飽和脂肪酸 / ポリヒドロキシアルカン酸 / オレイン酸 / リノール酸 / リノレン酸 / 酵母 / Saccharomyces cerevisiae / β-酸化 |
Research Abstract |
ペルオキシソーム・ターゲティング・シグナル1(PTS1)をコードする塩基配列を緑膿菌Pseudomonas aeruginosaのポリヒドロキシアルカン酸合成酵素遺伝子(phaC)の3'末端に付加した後に酵母-大腸菌シャトルベクターp415GPDと連結したプラスミド、p415PTS1phaCを出芽酵母Saccharomyces cerevisiae BY4742株に導入しポリヒドロキシアルカン酸合成酵素(PhaC)がペルオキシソームに局在化する組み換えS. cerevisiae株を育種した。得られた組み換え株を炭素数18の飽和ならびに不飽和脂肪酸を基質に培養したところ、いずれの基質においてもポリヒドロキシアルカン酸(PHA)の蓄積が認められた。脂肪酸を添加しない条件においてもPHAの蓄積が確認されたが、これはS. cerevisiaeの脂肪酸合成系から流れてきた脂肪酸がβ-酸化を受けた結果生成した3-ヒドロキシアシル-CoAを基質にPHA合成が行われたためであると考えられた。組み換えS. cerevisiae株の菌体PHA含量を比較するとC18脂肪酸の二重結合の数が0から3に段階的に増えるにつれPHA含量が減少する傾向が認められた。これは外部から添加した不飽和脂肪酸のβ-酸化による分解が律速となり、脂肪酸合成系からの内生的な脂肪酸中間体を含めた脂肪酸の分解過程が阻害された結果であると推察される。得られた結果を基に、今後は本研究で用いた組み換えS. cerevisiae株を用いて多価不飽和脂肪酸のβ-酸化による分解を担う遺伝子の探索を行う予定である。
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