2009 Fiscal Year Annual Research Report
細菌細胞壁のテイコ酸修飾における細胞骨格蛋白質の機能解明
Project/Area Number |
19580085
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山本 博規 Shinshu University, 繊維学部, 准教授 (20262701)
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Keywords | テイコ酸 / 細胞骨格蛋白質 / 枯草菌 / 細胞壁 |
Research Abstract |
枯草菌をはじめとするグラム陽性細菌の細胞壁は、厚いペプチドグリカン(PG)層が細胞壁テイコ酸(WTA)で修飾されることにより機能している。本研究ではレクチンを用いたWTAの特異的検出法を確立するとともに、枯草菌細胞壁のWTA修飾機構の解明を試みた。グルコースを特異的に認識する蛍光標識レクチンであるConcanavalin A(ConA-TMR)を用いて、WTAおよびリポテイコ酸のグルコース修飾に関与する種々の変異株を用いて検討した結果、ConA-TMR染色はmajor WTAのグルコース修飾を特異的に検出していることが明らかになった。次にTagE誘導細胞におけるConA-TMR染色パターンを観察した結果、誘導後60分頃から細胞側面に螺旋状の蛍光が観察され始め、180分では細胞全体が均一に染色されていた。この結果は、細胞側壁におけるWTA修飾が螺旋状に行われていることを示していた。反対にTagE枯渇後60分の細胞では、側壁に螺旋状に染色されない領域が観察され、最終的には全く蛍光が見られなくなった。次に新たなPG合成部位とWTA修飾部位が一致するかどうかを調べるために、バンコマイシンの蛍光標識物であるVan-BDPとConA-TMRとの共染色を行った。その結果、細胞側壁におけるPG合成部位とWTA修飾部位がほぼ一致ししていることがわかった。さらにMreB枯渇細胞におけるConA-TMR染色パターンを調べた結果、TagE枯渇細胞とよく似た細胞側面における螺旋状の未染色領域が観察された。このことは細胞側壁のWTA修飾はMreB依存的に螺旋状に行われていることを強く示唆していた。グラム陽性モデル細菌である枯草菌を用いた本研究成果は、類縁細菌の細胞壁修飾機構に関する研究や新規抗生物質のスクリーニング等にも役立つ可能性が期待できる。
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