2009 Fiscal Year Annual Research Report
エノキタケ子実体誘導に関与する遺伝子群の機能解析と遺伝子操作系の開発
Project/Area Number |
19580086
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
下坂 誠 Shinshu University, 繊維学部, 教授 (90187477)
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Keywords | 担子菌キノコ / エノキタケ / 子実体 / RNA干渉 / アグロバクテリウム / 遺伝子操作 |
Research Abstract |
担子菌キノコの子実体ができる仕組みについては不明な点が多い。そのため、人工栽培によって安定に子実体を作ることができるキノコの種類は限られている。貴重なキノコを効率よく人工栽培するためには、子実体形成の機構を分子レベルで理解することが重要である。これまでにエノキタケを実験材料に用いて、子実体形成時に特異的に発現する遺伝子を約600個分離した。この中には子実体形成の鍵となる遺伝子が含まれると考えられる。分離した遺伝子のはたらきを調べるためエノキタケにおける遺伝子操作系の開発を行ってきた。 1.担子菌遺伝子解析用バイナリーベクターpFungiwayシリーズの構築 目的遺伝子に対して高発現およびRNA干渉を利用した発現抑制を行うため、アグロバクテリウムを介した遺伝子導入バイナリーベクターpFungiwayシリーズを構築した。このベクターの特徴として、(1)Gatewayテクノロジーにより目的遺伝子を簡便に挿入できること、(2)hygromycin BとG-418耐性遺伝子の2種類の選択マーカー遺伝子を選択できること、(3)導入遺伝子の発現に対して構成的と子実体特異的の2種類のプロモーターを選択できること、が挙げられる。 2.エノキタケのアセチルキシランエステラーゼ遺伝子発現抑制株の解析 エノキタケの子実体形成時に特異的に発現するアセチルキシランエステラーゼ遺伝子を単離し、その全長配列を決定した。続いて、RNA干渉用pFungiwayベクターを用いて、本遺伝子の発現抑制株を作成した。その結果、発現抑制株の菌糸は、ポテトーデキストロース培地上では親株と同程度の成長率を示したのに対し、おがくず培地上では菌糸の成長が著しく遅れた。アセチルキシランエステラーゼは、おがくず培地の栄養源摂取に関わっていることが考えられた。
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