2008 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の脱炭酸酵素を用いたコルベ・シュミット反応と芳香族ヒドロキシ酸の生産
Project/Area Number |
19580087
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
長澤 透 Gifu University, 工学部, 教授 (60115904)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 豊和 岐阜大学, 工学部, 准教授 (90220657)
満倉 浩一 岐阜大学, 工学部, 助教 (70324283)
|
Keywords | 酵素反応 / 応用微生物 / 酵素 / 生体機能利用 / 炭酸固定 / コルベ・シユミット反応 / 芳香族ヒドロキシ酸 |
Research Abstract |
環境適応型の化学工業の確立をめざし、化成品や医薬品などの合成に生体触媒を積極的に活用する研究が盛んとなってきた。本研究では炭酸固定機能を備えた新しい脱炭酸酵素群を利用し、機能性ポリマー・液晶・医薬品の原料として有用な芳香族ヒドロキシ酸の合成法の開発を検討した。従来の有機合成法によるカルボキシル基の導入反応(コルベ・シュミット反応)では苛酷な反応条件による副生成物、多量の強アルカリ廃液処理などの問題を抱えている。微生物酵素による位置選択的なカルボキシル化反応を活用することで、芳香族化合物の効率的な環境適応型合成法が期待される。そこで、微生物の脱炭酸酵素の炭酸固定機能を活用して、芳香族ヒドロキシ酸工業生産法の基盤技術の開発を図った。重要課題の一つは、4-ヒドロキシ安息香酸の合成法の確立である。4-ヒドロキシ安息香酸は、液晶ポリマー原料としての重要な用途があり、汎用性が高い。これまでに4-ヒドロキシ安息香酸脱炭酸酵素活性が極めて高いEnterobacter cloacaeP240を分離し、本酵素を精製単離し、逆反応によるCO2固定活性を確認し、遺伝子解析を終えた。次に、4-ヒドロキシ安息香酸生産条件の最適化を図った。超臨界二酸化炭素条件下での生産条件を検討した。E.cloacaeP240は高活性を示すが、その酵素活性は不安定で、実際の工業生産には不向きであった。この不安定性の原因は本酵素を構成するサブユニットタンパク質の解離が原因ではないかと予想された。触媒活性をもつサブユニットの他に、安定性に寄与するサブユニットが2種類存在することが遺伝子解析から予想され、このサブユニットの作用をタンパク質レベルで解析した。また一方で、摂氏50度で集積培養を行うことにより、安定な酵素を生成する微生物の分離に成功した。この安定な酵素のサブユニット間の相互作用を不安定な酵素と比較した。
|
Research Products
(2 results)