2008 Fiscal Year Annual Research Report
巨大菌の塩応答型キラルナイロン生産:分子機構の解明と耐塩育種技術への応用
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19580092
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
芦内 誠 Kochi University, 教育研究部自然科学系, 准教授 (20271091)
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Keywords | 環境材料 / 生体材料 / 生体機能利用 / バイオテクノロジー / 環境適応 |
Research Abstract |
本年度は、バイオキラルナイロンの代表格である立体規則性PGAについて、産業応用に繋がる新機能開発及びその生合成システムの特性解析と当該遺伝子群の取得に係る研究を進めた。まず、本ポリマーの重要特性「分子接着性」について調査したところ、環境ホルモン等の有害化学物質を分解するバイオ触媒の接着固定に役立つことが判明し、有害物質分解能を保持する新規酢酸セルロース加工膜の作製に成功した。この現象は立体規則性PGAの高度な分子柔軟性と水分子を介して形成される水素結合ネットワークによるものと考えられた。立体規則性PGAの改質技術が十分に発達すれば、ストレスバリア材料とともに、医薬用途が期待されているバイオ系湿潤接着剤やナノ部材加工に役立つ超柔軟性インプリンティング素材の新規開発まで可能になるかもしれない。立体規則性PGAのナノ接着能力はある種の色素コロイドとの相互作用にも関係している。実際に、活性酸素を放出し細胞毒性を示すとされるメチレンブルーに対して強く結合し毒性の強い還元型白色体の形成を抑え、毒性の低下した酸化型青色体の状態で長期間留め置く能力を持つことが分かってきた。このことは立体規則性PGAが生産できる環境に置かれた巨大菌は生産できない環境に置かれたものと比べ1000倍を超える色素耐性を示すという生理現象と合致する。立体規則性PGAには活性酸素の発生源に対するバリア機能まで備わっている可能性があり、新たなヘルスケア素材としての利用に期待が持てる。さらに、メチレンブルー結合性とセルロース膜に対する分子接着性を応用し、立体規則性PGAを合成する酵素遺伝子群のクローニング技術を開発した。現在、独立クローン約1万個の巨大菌ホールDNAライブラリーから陽性クローンを得て全構造解析を進めている。実用型分子育種ツール(カセットやベクター等)の開発に必要な外来DNA安定化遺伝子の同定にも成功した。
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Research Products
(8 results)