2007 Fiscal Year Annual Research Report
グリコシレーションにより制御される糸状菌の菌糸伸申長と分化
Project/Area Number |
19580093
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 正利 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (90274521)
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Keywords | Aspergillus / O-glycoylation / glycoprotein |
Research Abstract |
Aspergillus nidulansにはO-グリコシレーションにおいて最も重要な初発マンノース転移酵素Pmtが3種存在する。各pmt遺伝子破壊株の表現型が、互いに相異なることから、各Pmtはそれぞれ独自の基質特異性を有すると推定される。本研究では、まず各pmt遺伝子破壊株間の糖タンパク質プロファイルは異なっていることを明らかにした。さらに、Ser/Thrに富んだ領域をもつ2種の分泌タンパク質(GAI及びWscA)を各pmt遺伝子破壊株で発現させた。菌体外分泌酵素GAIは、各pmt破壊株においていずれも野生株由来のGAIに比べ低糖鎖付加されていた。一方、細胞壁ストレスセンサータンパク質WscAを発現させた場合、基質特異性に差異が認められた。すなわち、pmtB破壊株ではWscAは低糖鎖付加は起こらず野生株と同様であったが、pmtA及びpmtC破壊株では、WscAは低糖鎖付加されていた。また、pmtA及びpmtC破壊株のWscAは、特に後者において顕著に限定分解されていた。従って、タンパク質に依存してPmtA、B、Cの糖鎖付加活性が異なるものと考察した。また、pmtA及びpmtC破壊株の異常表現型の生起要因の一つとして、WscAの機能不全によることが示唆された。一方、野生株及びpmtA破壊株から細胞成分を分画し、タンパク質を二次元電気泳動法により分離し、糖鎖染色法により検出した。細胞壁画分に見出された、酵母菌でも細胞壁に局在の報告があるグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の糖鎖染色スポット量が減少しており、本酵素がPmtAの基質の一つであると推察した。GAPDHの糖鎖量と機能性との相関性、さらに浸透圧との関連性が示唆された。
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