2008 Fiscal Year Annual Research Report
グリコシレーションにより制御される糸状菌の菌糸伸長と分化
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19580093
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 正利 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (90274521)
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Keywords | Aspergillus / O-glycosylation / glycoprotein |
Research Abstract |
Aspergillus nidulansにはO-グリコシレーションの初発マンノース転移酵素Pmtが3種存在する。本年度は最も異常な表現型を示すpmtC破壊株(△pmtC)と野生株(wt)間の比較プロテオーム解析を行い、pmtC遺伝子破壊が及ぼす構成タンパク質プロファイルの変化、並びにPmtCの基質タンパク質の同定を試みた。wtと△pmtCの細胞壁、分泌タンパク質の画分を調製し、各々SDS-PAGEと2次元電気泳動(2DE)を行った。分泌画分のSDS-PAGEの結果より、wtと△pmtC間のバンドパターンに差があることを確認した。分泌画分の2DE後の銀染色の結果から、wtに特異的なスポットは15個存在し、△pmtCに特異的なスポットは6個存在した。これらのスポットをMALDI-TOF-MSにより同定した。その結果、△pmtCの分泌タンパク質において特異的に検出された28kDa、pI4.8のスポットをXynCと同定した。このスポットは理論分子量と同等であり、糖鎖付加がされていないことが示唆された。そのためXynCは△pmtCの細胞壁の弱化に伴い、分泌されやすくなったタンパク質であると推察した。一方、他のwtや△pmtCに特異的に検出されるタンパク質をMS解析を行なったが高度に糖鎖付加されていると推定され同定には至らなかった。細胞壁画分の2DE後の銀染色では△pmtCのみに検出されるスポットが存在した。以上の結果より、A.nidulansの分泌酵素、細胞壁タンパク質においてwtと△pmtCではタンパク質の存在プロファイルが異なっていることを明らにした。これらにはPmtCの基質タンパク質だけでなく、細胞状態の変化に伴う、局在の変化あるいは遺伝子発現に起因するタンパク質も含まれており、両タンパク質の構成、機能の変化により△pmtCが異常形態を示すことが示唆された。
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