2007 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌アルカリプロテアーゼ遺伝子aprEにおけるグローバルな発現制御に関する研究
Project/Area Number |
19580094
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田中 暉夫 Tokai University, 海洋研究所, 教授 (10236606)
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Keywords | 枯草菌アルカリプロテアーゼ / aprE遺伝子 / scoC遺伝子 / glnA遺伝子 / tnrA遺伝子 / 転写制御因子GlnRとTnrA |
Research Abstract |
枯草菌の菌体外アルカリプロテアーゼ遺伝子aprEは、多くの遺伝子産物によって正および負に制御され、遺伝子発現制御機構の研究には格好の研究材料である。他方、枯草菌からみれば、菌体外プロテアーゼは棲息場所である土壌や根圏に存在する動植物由来の高分子タンパク質を分解し窒素源に利用するに必要な重要な酵素である。aprEの発現は培地に窒素源を多く含む場合では低レベルであるので、その発現上昇は細胞内の窒素源の枯渇を反映していると筆者は考えた。細胞内の窒素源の量を監視しているのは、グルタミン合成酵素(GlnA)であり、窒素源が多いときはフィードバック阻害を受けたGlnAがGlnRやTnrAという制御因子を通して下流の種々の窒素代謝に関与する遺伝子の発現を適切に制御している。従って、glnA遺伝子を破壊した時にはaprEの発現に影響が出ると考えられ、事実その破壊によってaprEの発現が上昇することが観察された。 上述のごとく、aprEには多くの遺伝子発現制御因子が関与している。直接aprE班遺伝子上流に結合し、その発現量に影響を及ぼす因子としてScoC,SinR,DegU,AbrBが知られている。筆者らはglnAの破壊によってこれらの因子の内scoCとdegUの発現量が、それぞれ減少および増加していることを見いだした。そこでそのメカニズム解明を目指し、詳細な解析を行った。即ち、scoCの転写開始点の決定を行い、その上流にTnrAが作用する部位を確認した。degUに関しては、転写開始点は2つ存在することが分かり、上流の方は窒素源が不足すると働く遺伝子であることが明らかになった。また、下流の方の転写開始は、リン酸化したDegUが自己を正に制御するautoregulationメカニズムで発現が制御されていることが判明した。
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Research Products
(3 results)