2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19580100
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
北本 宏子 National Institute for Agro-Environmental Sciences, 生物生態機能研究領域, 主任研究員 (10370652)
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Keywords | 応用微生物 / シグナル伝達 / 抗生物質 / キチン合成酵素 / PKC経路 |
Research Abstract |
キラータンパク質zymocinが、標的の酵母Saccharomyces cerevisiae(SC)細胞内に毒素を輸送する機構を解析した。Zymocinは3つのサブユニット[キチナーゼホモログ(α)、tRNA分解活性(γ)、機能未知(β)]から構成されるが、SCの細胞外から処理したzymocinは、αとγは細胞の膜画分に移行し、βは結合しないことを、zymocinの各サブユニットに対する抗体を使い、処理細胞内画分のウエスタン解析と、細胞の免疫染色で確認した。一方、細胞表層の健全性を守るPKC経路は、センサーが得た情報をリン酸化でRholp→Pkclp→→Mpklpに伝える。Rholp, Pkclpは細胞表層へ細胞壁合成酵素を輸送し、Mpklpは、合成酵素の転写活性化を司る。センサーやMPR1遺伝子破壊株(mpklΔ)、pkcl変異株はzymocin耐性を示し、zymocinの毒性発揮に標的細胞のPKC経路活性化が必要であることが示された。細胞壁合成酵素を細胞表層へ輸送できなくなったrhol変異株はzymocin耐性を示したことから、zymocinの持つキチナーゼ活性で細胞表層が浸食された結果、PKC経路が活性化され、細胞壁合成酵素の細胞表層への輸送が誘導されると考えた。野生株でもmpklΔ株でも、zymocin処理により、小胞体に蓄積されていたGFP-Chs3p量が減ることから、合成済みのChs3pは、zymocin処理により細胞表層へ輸送された可能性がある。さらに、zymocinのγサブユニットが細胞内に入る手段として、zymocin処理で表層へ送られたChs3pが細胞内へ輸送されると同時にzymocinが細胞内へ侵入すると予想した。mpklΔ株では、zymocinが細胞内に侵入せず、少なくとも細胞内へのzymocinの毒素のγサブユニット侵入にMpklpの活性化が必要である可能性が示された。
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