2007 Fiscal Year Annual Research Report
加水分解酵素の逆反応促進技術の開発と新規オリゴ糖合成への応用
Project/Area Number |
19580102
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森 春英 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 准教授 (80241363)
|
Keywords | 加水分解酵素 / オリゴ糖合成 / アノマー反転型酵素 |
Research Abstract |
膨大な種類を有するオリゴ糖や配糖体には新規機能開拓の可能性が高く,まずはオリゴ糖の合成が望まれる.本研究は,アノマー反転型酵素による効率的なオリゴ糖合成反応系開発を目的とする.平成19年度には大腸菌トレハラーゼを用いて以下を実施した.1.逆反応を強化した反応系の開発に関して,(1)触媒アミノ酸の同定,(2)塩基触媒変異酵素とフッ化糖の組み合わせによる合成反応の確立,を行った.(1)相同アミノ酸配列群に保存される酸性アミノ酸6残基の変異酵素6種をそれぞれ作出し,うち3変異酵素が特に著しい活性低下を示した.このうちの1つは,トレハロースよりもαフッ化グルコース(良い脱離基を有する)を良い基質とし,また反応速度定数(反応効率)の高pH側へのシフトを示し,酸触媒を決定された.塩基触媒は,残り2変異酵素のうち,実際にβフッ化糖からの逆反応触媒により決定された.これらの残基は,平成19年4月に発表されたトレハラーゼの立体構造の結果と矛盾せず,また,(α/α)_6バレル構造をとる他の糖質関連酵素と同じトポロジー上の配置が確認された.(2)βフッ化グルコースを用いると逆反応の効率が上がる.しかし,野生型酵素では,逆反応により合成されたトレハロースはただちに加水分解されるために,βフッ化グルコース(およびグルコース)を高濃度として逆反応の速度を高くしないとトレハロースは確認できなかった.これに対し,触媒塩基変異酵素は,効率よくトレハロース合成を触媒し,また合成されたトレハロースは加水分解されずに蓄積した.2.特異性改変に関して.合成反応においてグルコース以外はβフッ化グルコースの受容体にならず,基質特異性の厳密性が示された.
|
Research Products
(1 results)