2008 Fiscal Year Annual Research Report
組換えAMV逆転写酵素発現系の構築と蛋白質工学による生産性、活性、熱安定性の向上
Project/Area Number |
19580104
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
保川 清 Kyoto University, 農学研究科, 准教授 (30397559)
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Keywords | ウイルス / 核酸 / 酵素 / 酵素反応 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
本研究の目的は蛋白質工学を用いてトリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(AMV RT)の逆転写活性と熱安定性を向上させることである。平成20年度は「(1)組換えAMV RTの生産系の構築」、「(2)蛋白質工学によるAMV RTの性能向上」、「(3)MMLV/AMVキメラ酵素の解析」を実施し、以下の研究実績をあげた。(1)AMV RT・サブユニット遺伝子を昆虫細胞で発現させ、AMV RT・サブユニットを細胞の破砕物の可溶性画分から硫安分画とカラムクロマトグラフィーにより部分精製した。(2)RNase H活性に重要な残基Asp505をAlaに置換した変異型AMV RT・・サブユニット(D505A)を作製した。D505AのT50 (10分間の熱処理により逆転写活性が50%に低下する温度)は、鋳型プライマー非存在下・存在下のいずれにおいても、野生型AMV RT・サブユニットよりも1〜2℃高く、変異による熱安定性の向上が見られた。(3)AMV RTとモロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(MMLV RT)はともに、Fingers (F)、Palm (P)、Thumb (T)、Connection (C)、RNase H (R)領域をもち、F/T/Pに逆転写活性の活性部位が、RにRNase H活性の活性部位が存在する。F、P、T、RのうちひとつがAMV RT由来で他はMMLV RT由来のキメラ酵素4種(それぞれMRT-AF、MRT-AP、MRT-AT、MRT-ARと命名)を大腸菌を宿主として作製した。これらの逆転写反応の比活性はMMLV RTの0.1%以下であったが、RNase H反応の比活性はMMLV RTの約20%であった。MRT-AF、MRT-AP、MRT-ATだけでなくMRT-ARでも逆転写活性の減少が見られたことから、逆転写酵素ではF/P/TとRとの間で相互作用があり、この相互作用が逆転写活性に影響を与えることが示唆された。
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Research Products
(9 results)