2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞老化により規定される個体老化の分子基盤の解明とアンチエイジング創薬への応用
Project/Area Number |
19580109
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片倉 喜範 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 准教授 (50264106)
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Keywords | 細胞老化 / プロテオミクス / 個体老化 / TOF-MAS / 糖尿病 |
Research Abstract |
個体老化に対する細胞老化プログラムの寄与の解析 (1)新規細胞老化因子の同定 ヒト正常線維芽細胞(TIG-1)をモデル細胞として用い、若い細胞および分裂老化を引き起こさせた老化細胞から膜タンパク質を抽出し、1次元及び2次元電気泳動に供した。若い細胞及び老化細胞との間で発現量に差の見られるバンド及びスポットを切り出し、TOF-MAS解析によりタンパク質の同定を行い、16種類の細胞老化特異的タンパク質候補を同定した。 (2)新規細胞老化特異的タンパク質の発現解析 若いTIG-1から継代を続け、継代毎にRNAを抽出し、TIG-1の分裂老化に依存した遺伝子発現変化を反映するRNAプールを調製した。ここで調製したRNAがTIG-1の分裂老化に伴う遺伝子発現変化を反映しているかは、細胞老化マーカーとして知られているCDKインヒビターp21及びp16の細胞老化に伴う発現増強により確認した。これらRNAを用い、ここで取得した細胞老化特異的タンパク質に相当する遺伝子の発現変化を追跡した。その結果、細胞老化とともに発現増強する遺伝子が9種類、発現低下する遺伝子が5種類存在していることが明らかとなった。これら14種類の遺伝子は細胞老化特異的遺伝子と考えることができた。 (3)新規細胞老化特異的遺伝子の糖尿病組織での発現 上記16種類の遺伝子の、糖尿病患者由来筋肉組織及び膵臓組織での発現解析を行った。その結果、ここで同定されたほとんどの遺伝子が、糖尿病患者由来組織において発現増強していることが明らかとなった。つまり、糖尿病患者の組織では、細胞老化と同等の遺伝子発現変化及び表現型変化が行っているものと考えることができた。
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