2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞老化により規定される個体老化の分子基盤の解明とアンチエイジング創薬への応用
Project/Area Number |
19580109
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片倉 喜範 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 准教授 (50264106)
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Keywords | 細胞老化 / プロテオミクス / 個体老化 / shRNA / TAK1 |
Research Abstract |
(1)新規細胞老化因子の機能解析 これまでに同定した細胞老化関連因子の機能解析を行った。まず上記遺伝子の発現ベクターを構築し、ヒト正常線維芽細胞(TIG-1)に導入した。その結果、細胞老化マーカーとして知られるSenescence associatedβ-galactosidase(SA-β-Gal)活性の発現増強を伴う細胞老化をTIG-1に誘導しうる遺伝子が数種存在することが明らかとなった。 さらにそれぞれの細胞老化関連因子の発現を抑制しうるshRNAをデザインし、レトロウイルス発現ベクターに導入後、レトロウイルス発現システムによりそれぞれの細胞老化関連因子に対するshRNAをTIG-1細胞に導入した。ポジティブコントロールとしては,細胞周期制御因子であり、細胞老化関連因子として知られるp16及びp21に対するshRNAを導入した。その結果、p16及びp21に対するshRNAを導入したTIG-1細胞においては、細胞増殖の大幅な亢進とSA-β-Ga1活性の抑制が認められ、これらshRNAの導入により、TIG-1細胞の細胞老化が回避されることが明らかとなった。さらに当研究室において同定した細胞老化関連因子についても同様の解析を行った結果、p16及びp21と同様にTIG-1細胞の細胞老化を回避しうるshRNAの同定に成功した。以上の結果から、shRNAの導入によりTIG-1細胞の細胞老化誘導を阻害しうる細胞老化関連因子は、細胞老化プログラムを規定する新たな細胞老化因子であると考えることができた。 (2)細胞老化誘導ネットワークの解析 これまでの申請者独自の研究で、MAP3Kに属するTAK1が細胞老化プログラムにおいて非常に重要な役割を担っていることを明らかにしてきた。本研究では、TIG-1細胞において、細胞老化に伴いTAK1を活性化しうる因子の探索を進め、活性酸素の蓄積及び炎症性サイトカインの産生が,TAK1の活性化を誘導し、細胞老化を誘導しているという新たなネットワークの一端を明らかにすることができた。
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