2007 Fiscal Year Annual Research Report
アーバスキュラー菌根菌非宿主植物の生産する菌糸分岐阻害物質の解明
Project/Area Number |
19580127
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
林 英雄 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 教授 (30128772)
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Keywords | 菌根菌 / 菌糸分岐 / 宿主認識 / ストリゴラクトン / シロルーピン / イソフラボン |
Research Abstract |
AM菌(arbuscular mycorrhizal fungi)は陸上植物の80%以上と共生関係をもつ内生菌根菌である。一方、アブラナ科やアカザ科、マメ科のルピナスなどAM菌と共生しない植物もある。AM菌は宿主植物の根の近くに存在する時に激しく菌糸を分岐させるものの、非宿主植物の根ではこの分岐は起こらない。この菌糸分岐を誘導する物質がストリゴラクトンである。なぜ、アブラナ科などの種がAM菌と共生しないのか、その機構についてはほとんど明らかにされていない。非宿主植物であるナタネはストリゴラクトンリ分泌量が非常に少ない。一方、同じ非宿主植物であるシロルーピンはストリゴラクトンを、宿主植物であるミヤコゴサと同程度に分泌している。そこで、シロルーピンはAM菌の菌糸分岐を阻害する物質を同時に分泌しているものと考え、その阻害物質の検索を行った。 シロルーピンを低リン酸条件下で水耕栽培し、得られた水耕液から精製単離を行い、3つの阻害物質を単離した。各種機器分析により3つの化合物をいずれもイソフラボンであるlicoisoflavone B(1)、sophoraisoflavone A(2)、3'-hydroxy-4' -O-methyl alpinumisoflavone(3)と同定した。各化合物を菌糸生育アッセイに供したところ、化合物2は0.63μg/disc、化合物1と3は共に1.25μg/discで菌糸の生育を完全に阻害した。したがって、シロルーピンではAM菌の菌糸分岐が阻害されるために菌根菌が感染できないことが強く示唆された。
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Research Products
(2 results)