2008 Fiscal Year Annual Research Report
強力な抗腫瘍活性を有するヘテロ環系天然物の合成化学的研究
Project/Area Number |
19580130
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 俊哉 The Institute of Physical and Chemical Research, 物質構造解析チーム, 専任研究員 (00202151)
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Keywords | 抗腫瘍活性 / バンレイシアセトゲニン / コンホメーション / 分子間メタセシス / 腫瘍血管新生 / オバリシン / フマジリン |
Research Abstract |
これまでに多数知られている抗腫瘍活性バンレイシアセトゲニンの中でも、カムバリニンD(1)は4位水酸基が環状エーテルを形成し、他のアセトゲニン類とは大きく異なる構造化学的特徴を有している。このエーテル環の存在は、分子のコンホメーション自由度を大きく規制し、活性発現に重要な影響を及ぼすことが予想される。よって、1は作用機作を調べる上での重要なモデルになると考えられたが、天然からはごく微量しか得られていなかったため立体化学の一部が不明であるばかりでなく、活性の評価もなされていなかった。そこで、この天然物の絶対構造をも決定する目的で合成法の開発を行った。まず、未決定である分子右半分コアに相当する2種のラクトンを、生合成ルートを考慮に入れてデザインし、分子間アルキル化を利用して合成した。一方分子左半分は分子内エーテル化により合成した。両者のカップリングは分子間メタセシスによりスムーズに進行し、脱保護を経て2種のジアステレオマーを合成した。合成品のスペクトルデータを天然物のものと詳細に比較すると、一方の異性体が天然物のものと一致することがわかり、天然物の絶対構造を合成化学的に明らかにすることに成功した。 腫瘍血管新生を阻害するテルペノイド(オバリシン、フマジリン)の短段階合成ルートを検討し、新規誘導体創製も可能な効率的合成法を開発した。まず、市販のアルコール誘導体からSharplessの不斉酸化反応を利用して数段階で鎖状オレフィン化合物を合成した。次いで分子内メタセシス反応によってシクロヘキセン誘導体を構築した。ここで酸化を行うと反応は立体選択的に進行し、望むジオールを与えた。エポキシ環の構築を経てシクロヘキサノン誘導体とし、側鎖部を導入するとオバリシンの第二世代合成が達成できた。また、シクロヘキセン誘導体から数段階で、文献既知のフマジリン合成中間体へも変換できた。
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Research Products
(4 results)