2007 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧下でのpHが亜臨界水による食品成分分解動力学に及ぼす影響
Project/Area Number |
19580136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 幸敬 Kyoto University, 農学研究科, 准教授 (70211878)
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Keywords | 亜臨界水 / pH / 食品成分分解動力学 / 塩 / 糖 / ウロン酸 |
Research Abstract |
100℃以上で臨界点(374℃)以下の温度領域で,液体状態が保たれた亜臨界水は常温常圧の水に比べて,比誘電率が低く,またイオン積が500〜1000倍程度大きい.これらの性質によって,亜臨界水は疎水性物質の抽出への利用や酸または塩基触媒としての利用が可能である.亜臨界水中での糖の分解過程において,その分解反応速度がpH変化に影響を受ける現象に関して,本年度はまず,五単糖の分解過程を解析した.反応器出口のpHは,反応物の濃度に相関して低下した.糖の類縁体であり,酸性物質であるウロン酸の分解を試みたところ,より低い温度で分解反応が生じた.五単糖とウロン酸の分解過程はWeibull式で解析できた.この結果はChem. Eng. Technol.に報告し掲載された.次に亜臨界水中での単糖の加水分解過程に及ぼす塩の影響について検討した.ガラクトースの分解速度は,共存させたNaCl濃度が高いほど高くなった.グルコースおよびフルクトースの分解もNaClの共存によって促進されたが,マンノースは影響を受けなかった(大嶌ら,日本食品工学会発表).最後に,アミノ酸であるフェニルアラニンの亜臨界水中での分解動力学を解析したところ,0次反応および自触媒型反応を組み合わせた反応機構が現象をよく説明した.分解によって出口のpHは,糖の場合とは逆に上昇した(高瀬ら,日本食品工学会発表).他の疎水性アミノ酸の分解でも反応器出口のpHは上昇するが,それらの分解過程は1次反応に近く,フェニルアラニンの分解様式とは異なった.
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