2007 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分β-カロテンによる抗原呈示細胞活性調節における作用メカニズム究明
Project/Area Number |
19580139
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
山西 倫太郎 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30253206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板東 紀子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教務員 (40116851)
木本 眞順美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40108866)
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Keywords | β-カロテン / 脾細胞 / グルタチオン / レドックス / カテプシン / 抗原提示 |
Research Abstract |
我々は、これまでにマウスに高ビタミンEとともにβ-カロテンを摂取させた場合には、抗原投与により誘導されるIgE抗体の産生が低下し、そしてI型ヘルパーT細胞活性が亢進していることを報告している。また、β-カロテンはマウスマクロファージ培養細胞RAW264の細胞膜を酸化する一方で、細胞質に対しては、グルタチオン合成酵素γ-GCSの軽鎖mRNAの増加を導き、その結果として、グルタチオン合成亢進に基づく抗酸化性を誘導することも報告している。本研究は、β-カロテンが免疫系に対してこのような影響を及ぼすメカニズムを解析することを目的としている。本年度は、主にβ-カロテンを摂取したマウスの脾細胞およびそこに含まれる抗原提示細胞を実験材料に種々の検討を行った。その結果、β-カロテンを摂取したマウスでは、β-カロテン投与量に応じて脾細胞のβ-カロテン蓄積量が増加し、それに呼応してグルタチオン量が亢進していることを見出した。その際、グルタチオン合成酵素mRNA量が増加していることも突き止めた。さらに、脾臓細胞のプラスチック付着画分(抗原提示細胞リッチ画分)において、カテプシンB+L活性が亢進していることが判明した。カテプシンは抗原提示において重要なリソソームプロテアーゼであり、中でもカテプシンB及びカテプシンLは、活性中心にシステイン残基を持ち、レドックス感受性であることが知られている。従って、我々が今回得た実験結果を総合すると、脾細胞に含まれる抗原提示細胞に蓄積したβ-カロテンが、細胞内のグルタチオン合成を誘導した結果、細胞内の抗酸化性が亢進し、活性中心が抗酸化的に保護を介してカテプシンB+L活性が亢進したものと考えられる。この現象は、抗原提示に有利に作用すると考えられるが、抗原提示の亢進がI型ヘルパーT細胞誘導に作用するとの報告があり、今回の実験結果は、これまで、我々が得てきたβ-カロテンの作用を裏付けるものと位置づけることができる。次年度は、このβ-カロテンの作用について、さらに詳細に検討する予定である。
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Research Products
(5 results)