2008 Fiscal Year Annual Research Report
機能性脂質による生活習慣病の予防と改善に関する研究
Project/Area Number |
19580142
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
柳田 晃良 Saga University, 農学部, 教授 (00093980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永尾 晃治 佐賀大学, 農学部, 准教授 (10336109)
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Keywords | MRF症候群 / 食環境 / Adiponectin |
Research Abstract |
これまでの研究により、脂肪組織から分泌されるアディポネクチンが、マルチプルリスクファクター症候群の主要病態である脂肪肝やインスリン抵抗性の発症と改善に深く関わっていることが明らかとなった。そこで本研究では、肥満・糖尿病モデルZuckerラットを用いた病態生理学的検討により食環境との関係を評価した。肥満や脂質代謝異常の発症には、食事中の脂質成分の影響が大きいと考えられている。食事中に含まれる脂質はトリグリセリドが主であるが、リン脂質も微量ながら存在し、トリグリセリドとは異なった生理作用を持つことが知られている。しかしながら、リン脂質の中でもマイナーなボスファチジルイノシトール(PI)の栄養生理機能に関する知見は少ない。そこでPI摂取がマルチプルリスクファクター症候群発症に及ぼす影響を検討した。その結果、 PIを摂取したZuckerラットでは、肝臓肥大・肝臓脂質蓄積・血中肝機能マーカーの上昇・高インスリン血症が改善した。その作用機序としては、血中のアディポネクチン濃度上昇により肝臓における脂肪酸分解系酵素活性の亢進、炎症性サイトカインTNF-alphaおよびMCP-1の発現抑制がもたらされたためと考えられた。また血中および肝臓におけるコレステロール濃度の低下も認められ、その作用機序として糞中への胆汁酸排泄亢進が寄与していることが示唆された。 以上のことから本研究により、アディポネクチンの血中濃度を食環境で制御することはマルチプルリスクファクター症候群の予防・改善に有効であることが示された。
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Research Products
(5 results)