2008 Fiscal Year Annual Research Report
新しい抗菌剤としての1,5-アンヒドロフルクトースの評価
Project/Area Number |
19580143
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
安部 淳一 Kagoshima University, 農学部, 教授 (80128404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 雄二 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (90253913)
高峯 和則 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (10433070)
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Keywords | 1,5-D-アンヒドロフルクトース / 誘導体 / 酵母 / 抗菌作用 / Staphylococcus aureus / 安全性 / エンテロトキシン |
Research Abstract |
1,5-D-アンヒドロフルクトース(1,5-AF)は紅藻α-グルカンリアーゼをα-グルカン、例えば澱粉、に作用させて生成する糖である。この糖は、水中で水和型構造や分子内に二重結合を持つ構造の平衡状態にあり、反応性に富む。我々は、これまでの研究を基礎として、1,5-AFの産業化にすでに成功している。本研究は、1,5-AFの糖の新たな誘導体の作成と、この糖の機能の一つである抗菌作用についての解明を目指している。 昨年度の研究で、酵母は1,5-AFにより生育に影響を受けず、これを速やかに糖アルコールに変換することを認めた。この理由は、酵母が菌体内酵素であるNADP依存性リダクターゼにより糖アルコールに迅速に変換したためと認めた。本酵素を精製し、アミノ酸配列解析の結果、D-アラビノース脱水素酵素として知られている酵素のそれと一致した。従って、この酵素は別々の糖を基質として酸化、還元の二つの反応を行う珍しい酵素であることがわかった。 1、5-AFが黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus ATCC 10832の生育に与える影響を調べた。フルクトースあるいは1,5-AFを0〜0.5%含む培地での生育を比較した。無添加の場合に比べ、フルクトース濃度を上げると生育が促進されたが、1,5-AFは加える濃度を上げると生育が強く抑制された。1,5-AFを加えたとき、対数増殖期である7時間では1,5-AFが0.2%以上で菌の増殖は同じように抑制され、また静止期である13時間では0.3%以上で強く抑制された。臨床分離株を用いて生産されるエンテロトキシンを解析したところ、1000分の1程度に生産量が減少していることが認められた。これらのことから、1,5-AFは食品分野における殺菌剤あるいは保存剤としての利用が期待できる。
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