2008 Fiscal Year Annual Research Report
ベニバナ種子由来セロトニン誘導体の体内動態と生体内酸化ストレス防御作用の解明
Project/Area Number |
19580151
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
一柳 孝司 Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences, 薬学部, 准教授 (00288226)
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Keywords | 機能食品 / 酸化ストレス / 体内動態 |
Research Abstract |
ベニバナ種子残渣には、2種類のセロトニン誘導体(p-coumaroyl serotonin: CS, feroyl serotonin: FS)が含まれており、同成分の動脈硬化抑制作用などが報告されている。本研究では19年度にセロトニン誘導体の生体内吸収について検討した。その結果、CS, FSは何れも投与した形のまま、血漿中に検出されることを明らかにした。20年度は、セロトニン誘導体経口投与後の血漿をグルクロニダーゼ処理することによりCSのグルクロン酸抱合体生成量について検討を加えた。その結果、CSの血漿中濃度が5-6倍増加したことから、グルクロン酸抱合体が血中における主要な代謝物であることが示唆された。そこで、グルクロン酸抱合体を分離可能な分析条件を確立し再度分析を実施したところ、CSおよびFS投与後の血漿中に、代謝物と思われる新規ピーク(代謝物Xおよび、代謝物Y)を検出した。代謝物Yはグルクロニダーゼ添加量依存的に減少し、これに伴いCSピークの増加が観察されたため、代謝物YはCSのグルクロン酸抱合体と推察された。一方、代謝物Xの生成量はピークエリアで比較した場合、血中に検出されるCSの10倍以上の濃度で存在することが明らかとなった。しかし、グルクロニダーゼ処理による代謝物Xの減少は30%程度であったため、代謝物Xはグルクロン酸抱合体(X1)と他の代謝物(X2)の混合物であることが示唆された。一方、FSについてもCSと同様の結果を得た。本研究の結果は、セロトニン誘導体の体内動態について新たな知見を与えると共に、生体内において生成する主要な代謝物の構造決定と生理機能の解明が不可欠であることを示した。
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