2008 Fiscal Year Annual Research Report
野菜の消化プロセスで生じる創傷治癒ホルモンによる消化管創傷修復
Project/Area Number |
19580155
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田中 保 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90258301)
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Keywords | 食品機能 / 消化管潰瘍 / 創傷治癒 / リン脂質メディエーター |
Research Abstract |
1.食物の消化に伴うLPAの生成 胃は潰瘍の発生しやすい部位である。胃における食物消化の際にリゾホスファチジン酸(LPA)が生成するかどうかを検討した。ラット胃の内腔洗浄液にホスホリパーゼA(PLA)活性が検出された。本酵素活性はホスファチジン酸(PA)をよい基質とした。また、摘出胃中でPAを1時間インキュベートするとその5%程度がLPAに変換され、胃中は有意なLPA濃度となった。以上より、PAを摂取すれば、胃の粘膜層でLPAが生じる可能性が考えられた。 2.PA含有食の抗消化管潰瘍効果(モデル動物による検討) 大豆レシチンに粗精製したキャベツ由来ホスホリパーゼDを作用させることで、PA含量を2.5%から25%にまで高めることに成功し、グラム単位の反応系を構築した。これにより、モデル動物でPA-rich食の抗潰瘍効果を試験する準備が調った。現在、急性潰瘍における抗潰瘍実験をマウスにて行っている。 3.LPAの粘液ゲル分泌効果(培養細胞による検討) 胃上皮様HGC-27細胞およびAZ521細胞をLPAで刺激するとムチン産生が誘導されることが蛋白質レベル、mRNAレベルで観察された。この効果については引き続き検討し、LPAが潰瘍治癒だけでなく、胃粘膜防御を促進する可能性を試験する。 4.ホスホリパーゼD(PLD)活性の高い食材の検索 PA-rich食は胃内にLPAをもたらすため、抗潰瘍候補になりうる。PA含量の高い食材を捜したところ、キャベツだけでなく、トマト、ジャガイモ、里芋が高PA食であった。里芋にはLPAも存在する可能性があった。今後、さらに多くの食材、薬草について試験する予定である。
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Research Products
(3 results)