2007 Fiscal Year Annual Research Report
立地及び施業条件による森林植生の違いが斜面の土砂生産特性に与える影響について
Project/Area Number |
19580161
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
執印 康裕 Utsunomiya University, 農学部, 准教授 (60221305)
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Keywords | 人工林 / 林齢 / 分布型モデル / 土層厚 / 森林簿 |
Research Abstract |
本研究の目的は、A)自然環境要因,B)人為的にある程度まで制御可能な森林施業による植生要因,C)山地流域からの侵食・崩壊特性,この3者の相互関係を定量的に把握することを目的としている。 平成19年度においては、ヒノキ・スギ人工林を主構成樹種とする宇都宮大学農学部船生演習林において、現地計測を実施し、地形及び土層厚空間分布の情報を取得した。現地計測によって取得されたこれらの空間分布情報は活用高度化をはかるためデータベースとして整理したものである。さらに現地計測の結果および森林簿の情報を統合させることによって、林齢の違いが表層崩壊発生にあたえる影響を簡易かつ定量的に評価できる分布型モデルの雛形を作成した。これによって施業条件の違いが流域の侵食・崩壊特性にあたえる影響を試算した。モデルによる試算の結果、表層崩壊発生位置をある程度まで予測することが可能であること、またモデルによって林齢の違いが崩壊発生に与える影響を系統的に明示することが可能であることを示した。既往研究において、林齢の違いが表層崩壊発生に与える影響は統計的手法、あるいは経験的手法を中心として認識されていたが、今年度において作成した分布型モデルは、この関係についてある程度まで物理的根拠に基づいて系統的に説明することを可能にするものであり、その意義はおおきい。さらに以上より得られた実績は、森林施業による林齢構成の変化と表層崩壊発生の相互関係についての基礎的知見を与えるものであり、合理的な森林施業計画を立案するうえでも極めて意義のあるものである。20年度はデータの蓄積に加えてモデルの改良を行い、森林施業による植生要因の変化が山地流域からの土砂生産特性に与える影響を評価する予定である。
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