2007 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀以降の日欧米における林学・林政の展開過程-山地林管理を中心として-
Project/Area Number |
19580165
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古井戸 宏通 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30353840)
|
Keywords | 林野利用史 / フランス / 北イタリア / 北海道 / 山林監守人 / 育林技術 / 森林警察 / 比較林政史 |
Research Abstract |
1.文献調査 仏・英文献については主としてweb上で予備調査を行い、日本の戦前資料については、東京大学北海道演習林において札幌近郊の御料林施業案を入手し、これに関連する文献を、札幌周辺の公立図書館・大学図書館・道立林業試験場図書室等で収集し、目録を作成した。 2.現地訪問調査 Nancyの山林学校訪問は、長期に亘る交通ストのため行いえなかった。林政分野の碩学であるBUTTOUD教授が著した「山林監守人の19世紀における性格変化」に関する重要な文献3編を、パリ農林技術研究センターにて入手した。このほか、パリおよび近郊の図書舘・文書館(国立図書館、国立公文書館、農務省図書館等)、北イタリア(トレントおよびボルツァーノ)の図書館、ブザンソンのドゥー県公文書館において、山林監守人や土地制度に関する文献を中心に収集した。北イタリアではA.PALETTO氏の全面的協力により、イタリナ語・ドイツ語・英語文献の収集、ならびに、本研究にとって肝要となる関連専門用語の仏・伊・独・英・日対照表のプロトタイプを作成した。既往の林学用語集(FAOなど)は、制度的用語が不足しており、今回作成した用語集は、今回入手した文献の理解にとっても、今後のドイツ語圏および米合州国調査にとっても、きわめて重要なものとなっている。 BUTTOUD教授とは直接面会できなかったが、欧米の森林の現場において、技術を有する山林監守人の性格変化が、そのまま共同体の経験知に対して国が介入する過程を反映していることが示唆され、また日本での文献調査において、木曽の官林における監守人の実証研究が存在することが判った。当初予算のうち実際に利用できる金額が学内間接経費支出のため大幅に削減されたため、今後、フランスや木曽での先行研究に依拠しつつ、山林監守人の役割に焦点を当てて、欧州林学の日米への波及過程を研究することとした。
|