2007 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化が標高傾度にそったシラビソ・オオシラビソの種間競争に及ぼす影響
Project/Area Number |
19580168
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高橋 耕一 Shinshu University, 理学部, 准教授 (80324226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安江 恒 信州大学, 農学部, 准教授 (00324236)
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Keywords | 温暖化 / シラビソ / オオシラビソ / 標高傾度 / 成長 / 種間競争 |
Research Abstract |
地球温暖化の植生分布への影響が懸念されている.特に日本は山岳環境のため,植生は標高傾度にそって明瞭に変化する.中部山岳地域では標高が上がるにしたがい,落葉広葉樹林から常緑針葉樹林へと変化し,そして森林限界より上の高山帯ではハイマツ帯となる.さらに亜高山帯針葉樹林の中では,下部ではシラビソが,そして上部ではオオシラビソが優占している.標高傾度にそった植生変化は温度環境と関係している.そのため,温暖化は日本の植生分布を大きく変化させる可能性がある.そこで,本研究では,シラビソ・オオシラビソをモデルとして,温暖化の植生分布に対する影響評価を行うことを目的とした. H19年度では,調査プロットの設置,および分布上限と下限のシラビソ・オオシラビソの幹の肥大成長の季節変化と過去の肥大成長に対する気象の影響を解明した.調査プロットは標高1600m(シラビソ優占林),2000m(シラビソ・オオシラビソ移行帯),そして2350m(オオシラビソ優占林)の3箇所に設置した.今後,個体群構造や競争解析などを行う予定である.また,標高傾度にそった肥大成長については,標高が高くなるほど生長期間は短くなるものの,同じ標高ならば樹種間で生長期間に大きな差がないことが分かった.今後はさらに年変化など,さらにデータを積み上げる必要がある.過去の肥大成長に対する気象に影響については,低い標高で優占するシラビソのほうが,オオシラビソよりも気象の影響を受けやすいことが分かった.今後は,気象変動シナリオのデータを用いて,温暖化の成長に対する影響予測を行う予定である.
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Research Products
(2 results)