2009 Fiscal Year Annual Research Report
針葉樹人工林内の共存樹種の種子散布特性と散布者の対応関係の解明
Project/Area Number |
19580180
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
佐藤 重穂 Forestry and Forest Products Research Institute, 四国支所, グループ長 (10353707)
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Keywords | 針葉樹人工林 / スギ / ヒノキ / 共存樹種 / 種子散布型 / 動物散布 |
Research Abstract |
高知県西部の四万十川流域で行われたスギ・ヒノキ人工林22林分の植生調査のデータに基づいて、立地条件と共存樹種の種子散布型との関係を検討した。貯食散布型樹種および被食散布型樹種は、標高によって出現する種の違いはあるものの、低標高域から高標高域まで比較的高い頻度で出現した。これらの樹種の出現頻度は、直近の天然林からの距離とは関係がみられなかった。一方、風散布型樹種は、高標高域で出現頻度が高く、また、直近の天然林からの距離が近いと出現頻度が高かった。被食型散布樹種の主要な種子散布者である果実食鳥類の生息状況について、立地条件との関係を解析した結果、果実食鳥類は低標高の林分で出現頻度が高く、また、尾根部よりも谷部で出現頻度が高かったが、果実食鳥類の出現頻度と天然林からの距離との間に有意な相関は見られなかった。哺乳類の種子散布者のうち、貯食型散布者であるアカネズミとヒメネズミは人工林での出現頻度が比較的高かったが、他の散布者は人工林での出現頻度がきわめて低かった。 人工林内の主要な樹種のうち、貯食散布型のシイ・カシ類など4種および被食散布型のヒサカキ、ヤマウルシ、イヌガシ、シロダモなど10種について、文献や目撃記録及び現地での生息調査の結果を照合して、被散布樹種と散布動物種との関係を取りまとめた。貯食散布型の散布動物種としてアカネズミ、カケス、ヤマガラなど、被食散布型の散布動物種としてアオゲラ、ヒヨドリ、ツグミ類、メジロなどの出現頻度が人工林内で高く、これらが主要な人工林内において共存樹種の主要な種子散布者として働いていると考えられた。
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