2007 Fiscal Year Annual Research Report
樹木培養細胞からの二次木部直接誘導系における細胞骨格のリアルタイム解析
Project/Area Number |
19580183
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
船田 良 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (20192734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 隆文 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (00015091)
梶田 真也 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (40323753)
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Keywords | 細胞骨格 / 形成層 / 二次木部 / 微小管 / 管状要素分化 / 共焦点レーザ走査顕微鏡 / ポプラ培養細胞 / アカマツ培養細胞 |
Research Abstract |
木材など木質バイオマスの有効利用のためには、その特性を決定する二次木部細胞の分化制御機構を十分に明らかにすることが不可欠である。そこで本研究では、厚い二次壁とともに壁孔など複雑な修飾構造を形成する二次木部細胞を、形成層細胞由来ではなく培養細胞から直接誘導するモデル系を確立し、二次木部細胞の形態形成過程に関する新しい知見を得ることを目的としている。さらに、細胞分裂や細胞壁壁層構造のパターン形成に重要な役割を担っている表層微小管など細胞骨格の配向や局在をリアルタイムで動的に解析する手法を確立し、二次木部細胞の分化機構に関する新たなモデル図を提唱する。 アカマツおよびスギの未成熟種子および交雑ポプラのシュート形成層細胞由来のカルスを材料に用い、培養細胞から二次木部への高頻度直接導入系を検討した。その結果、活性炭を用いた脱植物ホルモン処理やブラシノステロイド添加が、管状要素の誘導に有効であった。 誘導された管状要素のなかには、二次壁の肥厚面積が大きく、有縁壁孔を形成するなど、二次木部様細胞が認められた。今後、さらに条件の検討を行い、同調性や再現性が高い誘導条件を確立する予定である。一方、管状要素への分化中のアカマツ培養細胞を、微小管やアクチンフィラメントに対する蛍光抗体染色後、共焦点レーザ走査顕微鏡を用いて細胞骨格の配向や局在を観察した。カルスから誘導された管状要素において、微小管が染色される領域のみで二次壁が肥厚しており、微小管の細胞壁形成における役割を明らかにした。 本研究の成果は、第57回および第58回日本木材学会大会で発表した。スギ・カルスから誘導された管状要素の形態観察結果(佐藤ら)およびポプラ・カルスからの管状要素誘導条件の検討結果(山岸ら)が、優秀ポスター賞に選ばれた。
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