2008 Fiscal Year Annual Research Report
木質構造部材の保有強度・損傷に関する非破壊評価法の開発と応用
Project/Area Number |
19580186
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐々木 康寿 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (90154004)
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Keywords | 木材強度 / 非破壊検査 / ヤング率 / 密度 / 応力波伝播速度 / モンテカルロシミュレーション / 木材強度データベース / 木質構造 |
Research Abstract |
木造建築物の修理・改築・建替え等において,使用されている構造部材の強度性能を非破壊的に確かめ,安全かつ合理的に利用するシステムを確立することを目的とし,解体前の構造体の状態で,応力波を用いることにより部材(木材)の強度性能を推定する方法を開発した.築年数の長い寺院建造物や古民家等で大量に使用されている木材の保有強度・損傷を評価し,再使用に供することは,CO_2の固定機能を持つ木材の低環境負荷性を最大限に活かすことにも貢献するものである.本研究では応力波法を対象としている.ただし,打撃法により固有振動数を知ることができれば,後述する応力波伝播速度の代わりにこれを使うことも可能である.材料中を伝播する応力波の速度と材料の密度が分かればヤング率を求めることができる.この場合,密度を求めるには材料全体,または,小切片を採取し,その体積と重量を計測することが考えられるが,作業は面倒であり,特に小試片により得られる密度は材の局所的な値であり,必ずしもその材を代表する値であるわけではない.このようなことから,本研究で提示する方法は,研究蓄積が多く,報告例の多い木材強度に関するデータベースを利用することにより,密度を測定することなく,応力波伝播速度(あるいは固有振動数)のみからヤング率を推定しようとするものである.このように,構造体の状態で部材の保有強度を推定する方法と測定例を提示した.本方法によれば,材料の密度を知ることなく,応力波伝播速度のみから部材ヤング率を推定することが可能であり,木質構造物の保守管理に役立つものと期待される.
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Research Products
(2 results)