2007 Fiscal Year Annual Research Report
樹木抽出成分のコントロールに向けたテルペノイド生合成関連遺伝子・酵素の解析
Project/Area Number |
19580191
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 弘毅 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (90264100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 祐司 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30236921)
黒田 健一 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80015908)
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Keywords | テルペノイド生産 / Curesus lusitanica細胞培養 / SPME / テルペンシンターゼ / P450 / 機械的刺激 / エリシター / シグナル伝達物質 |
Research Abstract |
今年度の主な目的はCupressus lusitanica細胞内でのテルペノイド代謝の詳細を明らかにすることであった。この目的のために、細胞内あるいは培地中のテルペノイドのみならず、大気中へ気散するテルペノイドも含めて定性・定量的分析を行った。この時、空気中のテルペノイドはSPME+GCMS(もしくはGCFID)で行った。空気中に揮発するテルペノイドは通常培養条件では存在せず、酵母抽出物エリシターの添加によって初めてヒノキチオール等と共に生産がみられた。また、培養系内に機械的刺激を与える実験を行ったところ、機械刺激のみではテルペノイドは大気中へ放出されるもののみ検出され、ヒノキチオールへ続くと思われる代謝系は働いていないことがわかった。エリシターは樹木に菌が侵入した場合を、機械的刺激は樹木に傷がつくなどの場合をミミックしていると考える。菌の侵入には効果的なファイトアレキシン(すなわちヒノキチオールなど)を生産し撃退する必要があるが、傷が付くだけの場合、まだ菌の侵入は検出していないが外部からの将来の侵入が予想される状況である。この将来の進入を防ぐために揮発性の物質で防御していることが考えられる。あるいはシグナル伝達物質として周囲の組織などに警戒を促す作用がある揮発性テルペノイドを生産していると解釈もできる。つまり、この細胞系においては、天然の樹木における防御反応をよってこの細胞系がテルペノイドの代謝を検討する上で重要なモデル系になることが示された。 マイクロアレイによる選抜は、ライブラリーの質・量の確認など、その基礎的準備を行う段階にあるが、その後の行程は十分に検討された例があるので順調に展開するものと予想される。 テルペンシンターゼの大腸菌での発現は一部成功したが、P450の異種発現系の構築には至らなかった。次年度の目標としたい。
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