2010 Fiscal Year Annual Research Report
木材乾燥中の4次元的な細胞形態変化の可視化による割れ発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
19580192
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松村 順司 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (70243946)
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Keywords | 可視化 / 乾燥割れ / マイクロクラック / 共焦点レーザー顕微鏡 / 木材組織 / 電気抵抗率 / Cryptomeria japonica / 心材 |
Research Abstract |
木材を乾燥する際に生じる割れの発生挙動をアーティファクトの影響なく、細胞レベルで経時的に可視化する方法を開発するために、木材の含水率に左右されずに観察可能な共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)の利点に着目し、木材ブロック試料を設置する雰囲気の環境制御法を確立することで、乾燥に伴う割れの発生挙動を細胞レベルでその場観察する方法を検討した。 22年度の研究成果は以下の通りである。 ○スギにおける心材成分量および含水率とマイクロクラックの形態変化との関係 生材含水率が低い赤心材と生材含水率が高い黒心材を比較すると、マイクロクラックの形態変化に大差はないが、初期含水率の違いによりマイクロクラック発生に要する時間が黒心材では長いことが明らかになった。黒心材の生材と温水抽出材を比較すると、心材成分の除去により乾燥が早くなることがわかった。赤心材を減圧注入して黒心材と同程度の含水率にしても、マイクロクラックの形態変化に大差がないことから、心材成分量の大小は関与しない可能性が示唆された。黒心材の心材成分を除去しても辺材生材のマイクロクラック発生挙動とは異なることがわかった。すなわち、辺材では不可視なマイクロクラックが存在するのに対して、黒心抽出材では顕微鏡下で残留するマイクロクラックがほとんどであった。これら一連のマイクロクラック発生挙動について,経時的な動画としてビジュアル化することができた。 ○マイクロクラックと早材変形との関係 その場観察システムを使って、早材仮道管の変形挙動の可視化に成功した。マイクロクラックは晩材部の放射組織で発生し、放射組織に沿って伸長・拡大して最大になったあと収縮し始めるが、そのとき早材仮道管が変形し始めることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)