2008 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸性鯨類スナメリの保全のための生息地モデルの開発
Project/Area Number |
19580201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白木原 國雄 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (90196618)
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Keywords | スナメリ / 沿岸性鯨類 / 保全 / 生息場モデル / 分布 / 環境要因 |
Research Abstract |
沿岸海域に生息する鯨類であるスナメリは,人間の生産活動の影響を受けやすく,個体数の減少が危惧されている。本種の分布は仙台湾以南の内湾性の強い海域にほぼ限定されており,その中でも分布密度は一様ではない.主分布域の1つであった瀬戸内海では東部で分布密度が極度に低くなっている(Shirakihara et aL. 2007).本種の保全のためには,分布を制限する環境要因を明らかにする必要がある. 主対象海域を瀬戸内海として,スナメリの分布と環境要因の関係を説明する生息地モデル(habitat model)の開発を行った.地形(離岸距離,水深,底質,勾配),水温,塩分,基礎生産力など,スナメリの分布との関連が想定される環境要因,瀬戸内海でのスナメリ目視データ(ShiTakihara et al.2007)を地理情報システム(GIS)を用いてデ「タベース化した.ロジスティック回帰分析を用いて,発見確率の地理的相違を説明するモデルを作成した.瀬戸内海東部の低密度を説明しうる要因として.船舶との衝突,漁網への混獲,海砂採取を指摘した. 東京湾にこの生息地モデルを適用したところ,瀬戸内海よりも概して発見確率が高く,東京湾は本来,好適な生息環境を有していることが示唆された.2008年10月,セスナ機からの目視調査を羽田管制圏内を除く東京湾全域を対象として実施したが,のべ220kmの飛行からスナメリの発見は全くなかった.東京湾の生息環境劣化の要因の特定は将来の研究課題である.
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