2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19580210
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
逸見 泰久 Kumamoto University, 沿岸域環境科学教育研究センター, 教授 (40304985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 慎一 東北大学, 総合学術博物館, 助教 (70332525)
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Keywords | ハマグリ / 資源管理 / 生息状况 / 成長 / 生残 / 合意形成 |
Research Abstract |
ハマグリMeretrix lusoria は、日本各地の干潟で最も普通に見られる二枚貝であったが、現在は多くの地域で激減している。日本一の漁獲を誇る熊本県も同様で、漁獲量は最近20年間で約20分の1に減少した。我々は、『干潟が健全で乱獲がなければ、ハマグリは砂質干潟の優占種で、その保全は水産上だけでなく、砂質干潟生態系を守る上でも重要である』との考えに基づき、本種の生活史特性の把握、個体数激減の原因解明、さらに、資源管理技術確立に向けた研究を進めている。初年度は、厳格な資源管理が行われている福岡県加布里湾とほとんど資源管理が行われていない熊本市白川河口で定量採集を行い、生息状況を比較した。 調査の結果、両地域共に、稚貝は冬季には主として河川内に出現し、成長するにつれて海域に移動した。稚貝の成長は遅く、孵化2年後の殻長は平均12mmに過ぎなかった。一方、成貝の成長は速く、2006年1月に殻長平均22mmの年級群は2007年7月には殻長平均35mmに成長した。また、成貝の生残率は高く、急激な成貝の密度減少は梅雨の降雨期や冬期にも見られなかった。 白川河口では漁獲圧が高いため、稚貝に比べ成貝は極端に少なかった。ただし、現在明らかになりつつあるハマグリの生活史特性(比較的速い成長、低い死亡率、長い寿命、新規加入量の年変動)は、白川河口においてもハマグリの資源管理が有効であることを示唆している。 なお、資源管理を進めるには生物学的な研究だけではなく、漁業者間の資源管理に関する合意形成も重要である。平成19年度は熊本市・熊本県と共に、熊本漁連を対象にハマグリの資源管理に関する講演会を開催し、資源管理の有効性をアピールした。
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