2008 Fiscal Year Annual Research Report
レトロトランスポゾンによるスサビノリ分子育種法の開発
Project/Area Number |
19580211
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
瀧尾 進 Kumamoto University, 沿岸域環境科学教育研究センター, 教授 (60188109)
|
Keywords | 養殖ノリ / 遺伝子 / 転移因子 / スサビノリ / ストレス |
Research Abstract |
イネでは転移能をもつLTR型レトロトランスポゾンが同定され,変異体作出や遺伝子の機能解析に活用されている。本研究は,レトロトランスポゾンの養殖ノリにおける遺伝子解析への利用を目的として,スサビノリから正常な遺伝子構造もつレトロトランスポゾンを分離し各種ストレスに対する応答能を調べた。その結果,5.6kbの完全長LTRレトロトランスポゾン(PyRE1G1)を分離した。PyRE1G1と以前に分離したLTRをもたないレトロトランスポゾンPyRE10Gは遺伝子構造(ポリプロテイン遺伝子の配列順序)の点から,どちらもコピア型因子と分類された。一方,ポリプロテイン遺伝子の配列からみると,PyRE1G1緑色植物の因子と相同性が高いのに対し,PyRE10Gは昨年発見されたホヤやメダカなどの一部の水生動物に局在する新規のコピア型因子と同じグループに含まれることが明らかになった。スサビノリの両因子は植物におけるレトロトランスポゾンの進化を考えるうえで重要と考え,両遺伝子の構造の違いと進化にっいて論文を公表した(Gene vol.424,pp153-158,2008年)。これらのレトロトランスポゾンに対する各種ストレス処理(プロトプラスト処理,重金属処理,酸化ストレス発生試薬,紫外線照射他)の効果を調べた。PyRE10Gについては,転写を活性化するストレス条件は見いだせなかったが,PyRE1G1は硫酸銅添加,プロトプラスト処理,紫外線照射によって転写が増大することが明らかになった。PyRE1G1はストレスに応答することから,スサビノリの分子育種や遺伝子解析への利用が期待される。
|
Research Products
(11 results)