2007 Fiscal Year Annual Research Report
水産無脊椎動物における外骨格の幾何学的構造を考慮した成長モデルの新展開
Project/Area Number |
19580217
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大西 修平 Tokai University, 海洋学部, 准教授 (00262337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤嶺 達郎 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所資源評価部数理解析研究室, 室長 (90371822)
山川 卓 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (10345184)
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Keywords | 水産学 / 生態学 / 水産資源学 / 成長 / 無脊椎動物 |
Research Abstract |
二枚貝の生息条件と水産上の利用形態に注目し、アカガイ、ホタテ、シジミ、3種についてモデル構築の基礎情報を得るため、研究機関でヒアリング調査を行った。それぞれ、南方の天然資源、北方の増養殖対象資源、中間的な天然資源と位置づけた。既存の改良型成長モデルに優先的にモデルを付加する必要がある構造として、生殖腺重量の季節変動が3種に共通して挙げられた。研究機関で閲覧した生データから判断して、季節変動は周期関数で単純に描ける場合とそうでない場合があり、さらに年と成長段階による違いが混在している。ホタテにおいては成長速度が速く、硬組織の面拡張期と肥厚期が交互にある。波浪や個体の取扱いの方法によって生じるストレスが原因で、成長速度が鈍化する現象もみられる。このような要素を取り込んだモデル化は非常に困難と思われた。モデル開発・検証の実測データ収集は全般的に困難であった。増養殖対象種では、漁業経営の安定を計るため、病害のリスクを受ける前の出荷が主体で、飼育個体はますます小型化している。ホタテの生涯成長を追跡できるデータは現在ほとんど得られない。アカガイについては若齢個体のデータを入手したが成長が遅い種であり個体群の生涯を通じたモデル検証にふさわしいデータではなかった。研究機関としては、カーブフィットや成長解析のためのモデルよりも、成長予測を主体とするツールが期待されていた。以上のような調査結果から、生殖腺重量の周期変動がみかけ上、相対的に小さく、生涯を通じた測定データが得られるような種を選定し、モデル検証用データを得る必要がある。モデル開発の方向としては、速度の周期変動よりも環境やストレスによる硬組織の幾何学的多様性に注目すべきである。
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