2007 Fiscal Year Annual Research Report
珪藻鍵種の動態追跡による親潮域春季ブルーム形成機構の解明
Project/Area Number |
19580228
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
桑田 晃 Fisheries Research Agency, 東北区水産研究所・混合域海洋環境部, 主任研究員 (40371794)
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Keywords | プランクトン / 珪藻 / 春季ブルーム / 親潮域 / 海洋生態 / 個体群動態 / 個体群動態 |
Research Abstract |
親潮域における春季珪藻ブルームの形成機構を解明するため、ブルーム形成の鍵を握る珪藻種の個体群動態に着目し、ブルーム形成期における珪藻鍵種の細胞供給過程と殖植過程の二点について、現場観測、長期データ分析、室内培養実験により解析を進めた。 [現場観測]3月から6月にかけ、親潮域の春季珪藻ブルームのブルーム前期、最盛期、終期全てをカバーした集中観測を若鷹丸により行った。観測では、海洋環境の観測とともにブルーム形成に伴う珪藻鍵種の空間分布の推移および、現場増殖速度の実測のためのサンプリングを行った。 [ブルーム形成期における珪藻鍵種の細胞供給過程]これまでに採集した現場試料の分析により珪藻鍵種の親潮定点での鉛直分布の季節変動を明らかにした。ブルーム形成種Thalassiosira nordenskioeldiiはブルーム形成期間中のみ水柱に出現することが明らかになった。親潮域の珪藻群集と海洋環境の長期観測データを整理し、多変量解析等を用い珪藻鍵種の出現環境解析を開始した。 [ブルーム形成期における珪藻鍵種の増殖過程]DNA合成期に特異的に発現するタンパク質(PCNA)の免疫抗体染色法を用い、個体群中の合成期細胞の頻度の追跡による現場増殖速度の見積もり法を検討・確立し、現場サンプルの分析を開始した。ブルーム形成種のT.nordenskioeldiiはブルーム形成期に盛んに増殖していることが示唆された。この成果は、日本海洋学会春季大会で発表した。さらに分裂期に特異的に発現するタンパク質(Histone H3)の免疫抗体染色法を用いた新しい方法の開発にも着手した。また、珪藻鍵種の増殖特性の解析のため、T.nordenkioeldiiの培養株を用いて培養実験を開始した。
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Research Products
(4 results)