2008 Fiscal Year Annual Research Report
珪藻鍵種の動態追跡による親潮域春季ブルーム形成機構の解明
Project/Area Number |
19580228
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
桑田 晃 Fisheries Research Agency, 独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所混合域海洋環境部, 主任研究員 (40371794)
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Keywords | プランクトン / 珪藻 / 春季ブルーム / 親潮域 / 海洋生態 / 個体群動態 |
Research Abstract |
親潮域における春季珪藻ブルームの形成機構を解明のため、ブルーム形成鍵種の個体群動態に着目し、ブルーム形成期における珪藻鍵種の細胞供給過程と増殖過程の二点について解析を進めた。 1.春季ブルーム形成期の珪藻鍵種の細胞供給過程 親潮定点での鉛直分布の季節変動および親潮域の長期定線観測データによる珪藻鍵種の出現環境の解析の結果、ブルーム形成主要種のThalassiosira属、Chaetocros属の沿種は、ブルーム形成期は珪藻群集全体の約70%を占め、ブルーム形成期間中のみ親潮域の水柱中に存在した。それに対しNeodenticula属は、春季に高頻度に出現しながら小規模のブルームを形成し、年間を通して親潮域の水柱中に存在した。 2.春季ブルーム形成期の珪藻鍵種の増殖過程 現場観測の結果、ブルーム形成種は現場で盛んに増殖することによりブルームを形成することが示唆された。また、培養実験による増殖特性の解析の結果、T.nordenkioeldii C.debilis,N.seminaeは20℃以上の高温のでは生育できないこと、低温・低照度でも高い増殖速度を示すこと。種間では、大規模なブルームを形成するT.nordenkioeldii,C.debilisがN.seminaeよりも高い増殖速度を示すことが明らかになった。 以上より春季親潮域において大規模ブルームの形成種と、小規模ブルーム形成種の間に、ブルーム形成過程に違いがあり、大規模のブルーム形成種は、春季に外部より水柱に細胞が供給され、高い増殖速度で増殖するのに対し、小規模のブルーム形成種は、冬季より水柱内で生存し、春季に高頻度に出現しながら大規模ブルーム形成種よりは低い増殖速度で増殖することが示唆された。
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