2007 Fiscal Year Annual Research Report
魚類アディポネクチンの性状および脂質・糖質代謝制御機構に関する研究
Project/Area Number |
19580233
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
潮 秀樹 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋科学部, 准教授 (50251682)
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Keywords | 脂質 / 糖 / 代謝 / アディポネクチン / 糖尿病 / AMPK |
Research Abstract |
哺乳類では,血中アディポネクチンレベルの上昇によって脂肪,筋および肝細胞における脂質代謝が促進されることが明らかになってきた.また,哺乳類脂肪細胞の分化や代謝調節において核内受容体PPARγが重要な働きを担う.一方,魚類におけるこれらの存在についてはゼブラフィッシュなどのcDNAおよびESTデータベースによって確認しうるが,現時点では機能性を有した脂質代謝関連タンパク質が存在するかどうかについては全く情報が得られていない.そこで本研究では,魚類においても脂質代謝に関与すると考えられるアディポネクチンなどの発現頻度を明らかにし,脂質代謝調節経路を推定することを目的とした. タンパク質レベルでの脂質代謝関連タンパク質の発現頻度を明らかにするために,ニジマス脂肪組織,血漿等を採取してSDS-PAGEに付し,ウェスタンブロッティングを行った.アディボネクチンについては,アトランティックサーモンからヒトまで保存性の非常に高いC末端配列に対する市販抗体などを用い,その他の脂質代謝関連タンパク質様成分についても同様に複数の市販抗体を用いて探索を行った. ウエスタンブロッティングの結果,認識エピトープの異なる数種類の抗体で交差性が認められるアディポネクチン様成分がニジマス脂肪組織,RTG-2細胞に認められることが明らかとなった.また,RTG-2には複数の抗PPARγ抗体で強く認識される成分が存在することが明らかとなった.これにより,魚類においても哺乳類と同様の核受容体や転写因子が存在し,現在哺乳類において明らかになりつつある脂質代謝調節経路の存在が示唆された.
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