2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによる魚類筋原繊維中のミオシンの生化学的性質と食品機能特性の変化
Project/Area Number |
19580240
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
大泉 徹 Fukui Prefectural University, 海洋生物資源学部, 教授 (20254245)
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Keywords | 過酸化脂質 / ヒドロキシラジカル / 臭素酸カリウム / 酸化 / 筋原繊維 / ミオシン / 架橋重合 / 塩溶解性 |
Research Abstract |
貯蔵・加工中に各種の酸化ストレスによって引き起こされる筋原繊維(Mf)タンパク質の生化学的性質の変化と食品機能特性との関係を明らかにするための基礎研究として、過酸化脂質(P-TG)で酸化処理したMf中のミオシンの架橋形成と凝集の進行を、ヒドロキシラジカル生成系(HRGS)と臭素酸カリウム(KBrO3)で酸化処理した場合のそれらと比較検討した。これら3種の酸化ストレスでMfを処理すると、いずれの場合もCa-ATPase活性の増大とK-ATPase活性の低下がみられ、Mf中のミオシンの活性中心付近に存在するSH基が酸化されることが示唆された。HRGSやKBrO3で処理したMf中のミオシンの凝集と架橋形成は、非共有結合とジスルフィド結合を介して進行した。一方、P-TGでMfを酸化処理した場合には、非共有結合とジスルフィド結合による凝集と架橋形成の進行とともに、SDSや2-メルカプトエタノールでは解離しない共有結合に匹敵する強度の結合を介した架橋ミオシンが生成することが示された。また、これら3種の酸化ストレスで処理したMf中のミオシンのキモトリプシン消化による分解生成物も異なっており、これらの酸化ストレスはミオシン分子に異なる構造変化を引き起こすことが推察された。さらに、P-TG処理したMfのミオシンの塩溶解性は、HRGSまたはKBrO_3で処理した場合よりも大きく低下することが示された。このような酸化ストレスの種類によるミオシンの架橋形成と凝集の進行様式の違いは、Mfタンパク質の食品機能特性に異なる変化を引き起こし、魚肉を原料とする水産食品の品質に影響を及ぼすことが推察された。
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Research Products
(2 results)