2008 Fiscal Year Annual Research Report
輸入米のニーズ形成とコメ市場の競争構造に関する日韓台比較
Project/Area Number |
19580245
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊藤 亮司 Niigata University, 自然科学系, 助教 (70334654)
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Keywords | MA米 / コメ市場 / 事故米 / WTO / 国際比較 |
Research Abstract |
WTO体制下で急速に進む輸入米利用について、東アジア各国における制度展開および経済主体の市場競争、消費者を含む実需者のニーズ状況のもとでの需要実態を明らかにし、そのもとでの市場構造の再編および政策課題を解明するのが本研究の目的である。具体的研究としては、(1)国内における実態調査および統計・文献研究等による国際的制度状況や交渉枠組みについての研究と(2)韓国・台湾における現地調査を行った。研究2年目の本年度は、国内的には、新潟県内の調査は前年度に一定の整理が付いたため、少し範囲を拡大し全国的な調査を行い、(2)については、前年度に基礎固めとして行った予備調査および現地調査協力体制を使っての本格的実態調査を企画した。現在まで、国内的な実態調査(消費者および味噌・米粉・米菓・焼酎・清酒業者)はほぼ終了し、証拠固めの段階にある(今年度に成果についての学会報告や論文投稿を予定)。制度的に形成され、そのもとで浸透してきた輸入米利用であるが、今後の拡大余地という面では、消費者理解や新たな利用分野開拓を必要とする段階になりつつある。台湾および韓国については、日本同様制度的なニーズ形成の面を持ちつつ台湾に関しては、消費者レベルでの輸入米への認知・志向の存在、韓国における独自の加工品の存在等の日本とは違ったニーズ形成が見られる点、また、韓国で先行して開始された原料米の原産地表示制度については一定の調査を行うことができた。またWTO新ラウンド妥結がずれ込み、制度的枠組みには大きな変化がないが、国内的には事故米事件等を通じて、MA米のニーズ形成は不安定化し、また、国際的には穀物価格の乱高下もあり、状況を見極めるためには実態調査に当たって慎重な対応が求められる。特に国内での輸入米ニーズについては、新たな状況も生じ、あるいは加工メーカーへのヒアリングが困難化しており、その点は配慮しつつの研究が必要とである。
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Research Products
(4 results)