Research Abstract |
1.ミカンおよびリンゴの市場ごとの産地別入荷量と価格を日園連の柑橘販売年報と農林水産省の青果物産地別卸売統計より分析した。ミカンでは市場ごとに主要な入荷産地に違いがあり,産地ごとの市場棲み分けがなされているが,リンゴでは市場ごとの主要入荷産地に大きな違いがなく,市場棲み分けは観察させなかった。ミカンの市場棲み分けは関西市場で和歌山県,名古屋市場で静岡県,三重県,愛知県というような近隣産地との結びつきが強く,またその傾向は年ごとに強まっている。 2.柑橘産地の実態調査を静岡県,和歌山県,愛媛県,熊本県,三重県の10カ所で行った。販売面では光センサーを活用しながら,商品差別化を図るとともに,主力市場を絞り込みながら,卸売市場流通主体の販売対応を行っていることが特徴点として指摘できる。特に市場競争力の高い産地ほど卸売市場流通の比重が高いことが特徴的である。生産面では,一部の産地の中で園地基盤整備による生産条件の整備と園地の流動化によって規模拡大が進みつつある状況が確認できた。 3.リンゴでは,青森県,岩手県,山形県の5カ所において,農協担当者を対象に,産地マーケティング戦略についての調査を実施した。青森県はリンゴ専作で通年販売を行う大産地の多い県,岩手県はリンゴ専作で,中小規模産地の多い県,山形県は,果樹複合地帯で,さくらんぼ,西洋なしにっいて独占的立場にある県である。各産地は,大規模化する量販店の対応に苦慮しながらも,需要に対して一定の独占的性格をもっ商材を軸に,販売戦略を構築していた。
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