2007 Fiscal Year Annual Research Report
国産および輸入食料の需要体系分析による国産食料志向の研究
Project/Area Number |
19580252
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
草苅 仁 Kobe University, 農学研究科, 准教授 (40312863)
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Keywords | 農業経済学 / 食料 / 需要分析 |
Research Abstract |
戦後の日本における食生活の変化は、1.食生活の洋風化(または高級化)、2.食の外部化、3.健康志向の、主に3つの要因から説明される。このうち1と2は食料自給率を低下させる方向に、3は逆の方向に作用してきたといわれるが、全体でどうなのかよくわからないままである。そこで、本研究の目的は次の2点である。1.日本の食料需要を国産品と輸入品とに分け、さらに、それぞれを生鮮品と非生鮮品に分けた揚合、4品目(国産生鮮食料、国産非生鮮食料、輸入生鮮食料、輸入非生鮮食料)の需要にどのような関係が観察されるかを明らかにすること。2.消費者の「嗜好」と、「健康」のように所得効果をともなう「志向」とを区別して計測することにより、日本の消費者は国産食料に対する潜在需要を有しているのかなど、国産食料志向の効果を明らかにすることである。 平成19年度は以下の3点を実施した。 1.食料需要体系分析の研究レビューと概念整理 関連研究として、(1)家計消費の需要体系分析、(2)貿易フローの部分需要体系、(3)単一方程式による輸入需要関数などのアプローチを念頭に、文献の収集と整理ならびに研究レビューを行い、各アプローチの長所や問題点について概念を整理した。 2.理論モデルの構築 日本の食料需要を4品目(国産生鮮食料、国産非生鮮食料、輸入生鮮食料、輸入非生鮮食料)の関係から適切に捉えるための理論モデルを構築した。構築にあたり、(1)4品目の関係を正確に捉えるための伸縮性を有していること、(2)需要理論が要請する制約条件(収支均等制約、同次性制約、対称性制約)を満たすこと、(3)志向バイアスの導出が容易であることの3点に留意した。 3.データの収集と集計 上記1、2に基づいてデータを収集・集計した。ただし、4品目のデータを統計資料から完全に捕捉することは不可能であるため、いくつかの仮定に基づいた集計作業を実施した。
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