Research Abstract |
本研究では,中山間地域における「小さな自治」(地域自治組織」)の機能と性格の解明を行い,今後の発展条件を明らかにすることを課題とした。より具体的には,(1)こうした組織が果たしている機能(様々な事業によって住民や地域に与える意義等),(2)組織の構成や機構(全住民の自治組織としての可能性等)を解明し,(3)このような側面を強化・促進する制度的課題(法人格や税制)を実証的に提起することを目的とする。 そこで,平成19年度は,ふたつの課題を設定した。第1に,研究初年度でもあり,研究分担者,研究協力者を含めて参加する濃密調査地域を設定し,実態調査の機会を利用する相互討論により,中山間地域の「小さな自治」についての実態認識や問題意識の共有化を図ることを企図した。そのため,広島県安芸高田市川根地区を濃密調査地域に設定し,地区内全集落の集約的なヒヤリング,地域住民の地域自治組織に対する意識をアンケート調査により接近した。その結果,地域自治組織は集落とは異なり機能を果たしていること,そして地域住民は集落とともに地域自治組織を生活の拠り所とし始めていることが明らかになった。 第2に,「小さな自治」を網羅する統計や資料は存在せず,各種の情報源よりひとつひとつの事例を集めることが必要になる。そこで,今年度は,まず広島県内の状況を試験的に集めることを試みた。また,それにより実態調査が必要と思われる地区については,簡易なヒヤリングを行い,概況を把握した。
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