2007 Fiscal Year Annual Research Report
政策転換期における集落営農組織の統合に関する組織論的研究
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19580270
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
高橋 明広 National Agricultural Research Organization, 中央農業総合研究センター・農業経営研究チーム, 主任研究員 (20355465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 信之 中央農業総合研究センター, 農業経営研究チーム, 上席研究員 (10355464)
伊庭 治彦 国立大学法人神戸大学, 農学部, 准教授 (70303873)
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Keywords | 農業経済学 |
Research Abstract |
本年度は研究初年度であることから、集落営農が早期から展開している地域(富山、滋賀、島根)を対象に複数の集落営農を統合・再編した事例を調査し、その組織の目的及び契機からみた類型区分を行った。統合・連携には、組織統合と機能統合があり、その契機・目的からのタイプを区分すると3タイプに整理できる。(1)作業・生産単位の経済性追求型(ファームY、ファームO、O連絡協議会)である。そこでは、米政策改革等の担い手施策の提示を契機に、組織統合による規模の経済性の発揮や、資材の共同購入を通じて組織の維持・発展を志向している。(2)販売単位の経済性追求型(ファームF、Yネットワーク)である。特にFでは、7つの集落営農を統合した法人組織を設立してはいるが、地域資源管理を行う必要から集落営農の役割を作業班という形で存続させている。そこでは、当面は、ムラの論理を優先しつつ、まずは、経営の論理が発揮できる部分(農産物の販売)から統合のメリットを追求している。(3)集落ぐるみ組織の維持・存続型である。安定兼業地域のファームOHでは、既存の集落営農が小規模であることから担い手対策に適応するために3つの集落営農を統合した。そこでは、地域資源を維持するためには、ぐるみ参加型が重要と考え、米・麦・大豆だけでなく多様な作物(チューリップ、野菜等)に取り組み統合組織の維持・発展と、地域の農家や非農家まで含めて組織参加できる仕組みを作っている。これら統合組織は、集落営農が持つムラの論理を重視しつつも、その一方で経営の論理を取り入れながら組織の維持・発展を志向している。これら連携組織は、地域条件に応じて、経営の論理とムラの論理を相互に調整・活用しながら経営発展を図っていることに特徴がある。
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Research Products
(3 results)