2009 Fiscal Year Annual Research Report
経済実験による環境保全型農業経営の行動解明:リスク態度を中心として
Project/Area Number |
19580271
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
井上 憲一 Shimane University, 生物資源科学部, 准教授 (60391398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤栄 剛 滋賀大学, 環境総合研究センター, 准教授 (40356316)
小糸 健太郎 酪農学園大学, 酪農学部, 講師 (00347759)
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Keywords | 経済実験 / 環境保全型農業経営 / リスク |
Research Abstract |
本研究の課題は,経済実験等のアプローチを用いて,環境保全型農業経営をはじめとする経済主体のリスク態度を明らかにするとともに,それを通じて,環境保全型農業経営の行動や消費者行動を分析し,リスク態度に整合した農業環境政策のあり方を検討することにある。 本年度は,昨年度に引き続き,滋賀大学経済学部生48名を対象とした,差別価格型と一様価格型の環境保全型オークションによる経済実験を実施するとともに,データベース化されたアンケート調査データの分析を進めた。得られた結果の概要は,次の通りである。 1. 上記の環境保全型オークションについて,農家の法令遵守行動が政策の効率性などに及ぼす影響を理論面ならびに経済実験の結果の両面から検討した。検討の結果,理論的に得られる結果と経済実験によって得られる結果は異なっており,現実には,政策実行時に支給される補助金の支給要件を遵守する農家数は,差別価格型オークションの方が一様価格型オークションよりも少なく,政策実施の効率性が低いことを明らかにした。 2. アンケート調査の結果からは,(1) 時間選好が環境保全型農業の採択を有意に説明しうること,(2) 農業補助金の受給農家や環境保全型農業の実施農家は差別型オークションを好む一方,リスク回避的な農家ほど,差別型オークションを好まない傾向にあること,(3) リスク回避度の低い農家ほど,経営活動の多角化を図る傾向にあることを明らかにした。 以上,得られた成果の一部は関連学会や論文において公表済みであるが,今後,学術雑誌等への投稿を通じて成果を公表する予定である。
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