2008 Fiscal Year Annual Research Report
水田水管理による温室効果ガス放出抑制型栽培法に関する研究
Project/Area Number |
19580276
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯田 俊彰 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (30193139)
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Keywords | 農業工学 / 地球温暖化ガス排出削減 / 環境調和型農林水産 / 土壌圏現象 / 水圏現象 |
Research Abstract |
水田からの温室効果ガス放出を、実際の農家による簡便な操作で可能な、土壌水分状態の工学的制御によって抑制する方法を探求することを目的としている。今年度は、昨年度の結果を踏まえ、暗渠排水の利用を想定して、地下氷位の高低による浸透速度の違いが水田土壌からのメタン放出量の違いへ及ぼす影響について検討した。 高さ50cmの透明塩ビ管4本に、水田の成層土壌を再現するよう下から順に心土層(豊浦砂)30cm、耕盤層10cm、作土層10cmを充填し、土壌表面に7.5cmの水深で湛水した。この土壌カラムを30℃の恒温室内に静置し、湛水開始後4本すべての土壌カラムの地下水位を地表面下25cmとして浸透状況が安定した時点でメタン生成の気質としてグルコースを添加した。その後、土壌カラム2本をそのままとし(閉鎖区)、残り2本の地下水位を地表面下75cmに下げた(低地下水位区)。土壌カラムの土中水の圧力、Eh、地温の鉛直分布と、浸透水量を測定した。また、クローズドチャンバー法により、土壌カラム表面(湛水表面)からのメタン放出量を1日2回測定した。 地下水位を変化させたところ、低地下水位区からのメタン放出量は閉鎖区からのそれと比べて約半分に減少した。このとき、低地下水位区の各土層のEhはほとんど変化しなかったが、低地下水位区の浸透速度は閉鎖区のそれと比べて約2倍高くなった。したがって、地下水位を低下させると、作土層のEhに変化は見られないが浸透速度が増加し、メタンフラックスは減少することが明らかとなった。またメタンフラックスが減少する割合と浸透速度が増加する割合との間の関係性の存在が示唆された。メタンフラックスの減少の理由として、表層土壌における酸化層の発達によりメタンの酸化が起こったことや、メタンが浸透水に溶解して下方移動したことなどの可能性が指摘された。
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Research Products
(2 results)