2007 Fiscal Year Annual Research Report
海岸地下淡水資源保的のための海水侵入制御メカニズムとモデリング
Project/Area Number |
19580283
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
籾井 和朗 Kagoshima University, 農学部, 教授 (40136536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 啓 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (90315135)
神野 健二 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80038025)
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Keywords | 室内実験 / 数値モデル / 地下ダム / 浸透池 / 注水井戸 / 海水侵入 / 地下水 / 水資源開発 |
Research Abstract |
本研究では,2次元鉛直断面水槽を用いた室内実験及び数値モデル解析に基づいて,工学的対策による海岸帯水層海水侵入制御機構の解明,及び工学的対策が周辺帯水層内の地下水流動に及ぼす影響について検討を加えた.ここでの工学的対策は,(1)地下ダム方式,(2)浸透池方式,及び(3)注水井戸方式の3ケースである.これらに対して,侵入海水の地下水中での挙動について,写真撮影及び塩分濃度測定結果により検討した.特に,(1)地下ダム方式では,既存の地下水数値モデル(アメリカ地質調査所USGS-SEAWAT)により,侵入海水と淡水地下水の流動特性について検討を加えた.まず,(1)地下ダム方式では,地下ダム設置後に貯水域に残留した塩水が自然の地下淡水流れによって徐々に海側に掃流され,最終的には消失することを本実験によりはじめて明らかにした.この条件下での塩水と淡水の流動機構については,地下水数値モデルにより説明した.次に,(2)浸透池方式と(3)注入井戸方式では,淡水注入量が同じ場合には,(2)浸透池方式に比べて,(3)注入井戸方式の塩水侵入抑制効果が大きいことを実験的に明らかにした.また,(2)と(3)の方式を(1)地下ダム方式に適用しても,残留塩水排除に要する時間は短縮されないことを明らかにした.以上のことから,本研究では,室内実験スケールではあるが,地下水中における塩水の挙動を実験により可視化し,その流動機構を数値モデルにより検証した点が有益であり,新たな淡水資源確保に向けての工学的対策の基礎を与える有意義な研究成果といえる.
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Research Products
(1 results)