2010 Fiscal Year Annual Research Report
水域ネットワーク内の淡水魚類動態を考慮した水路魚道の開発
Project/Area Number |
19580284
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
一恩 英二 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (10320912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 邦彦 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (80070853)
上田 哲行 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (30184930)
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Keywords | 水路魚道 / 回遊魚 / 魚類動態 / 水域ネットワーク / 落差工 |
Research Abstract |
石川県絶滅危惧I類に指定されているトミヨが生息している石川県能美市粟生町の湧水水路において、ドジョウかご調査の結果、トミヨの遡上数は608尾(1~9月)で例年とほぼ同程度であった。しかし、湧水水路へ遡上する淡水魚の種数は水路改修工事期間に15種から8種に減少した。また、石川県羽咋郡志賀町鷺池に設置した試験魚道(潜孔付き全面越流型、プール間落差:3cm)における2009年9月から2010年12月のトミヨの遡上数は、6,900個体(右魚道:5,213個体、左魚道:1,687個体)であった。その他、フナ類1,123個体、タモロコ742個体、アメリカザリガニ1,823個体など、11種の魚類と2種の甲殻類が両魚道を遡上した。トミヨの遡上数は、春(3~4月)、初夏(6~7月)、秋(9~11月)に増加していることがわかった。魚道下流では、6~11月にトミヨが滞留することがあった。トミヨ以外の魚種では魚道下流に滞留する現象はほとんど見られなかった。 トミヨのための12連プール式魚道の室内水理模型実験の結果、全面越流潜孔あり型が幅広い水位条件と流量条件に柔軟に対応できる魚道型式であることが分かった。長時間実験の結果、全面越流潜孔なし型は潜孔あり型よりも遡上に時間がかかり、2日目以降に遡上する個体が多くなることが明らかになった。また、トミヨの生態的特徴として、照度Oluxに管理した夜間には遡上しないことや、8.5~11.4℃の低水温条件では0~23%の低い遡上率しか得られないことが明らかになった。 魚道潜孔におけるトミヨの遡上速度の分析を行った。実験水路に潜孔つき隔壁を1枚設置し、潜孔部の流速を変え、遡上実験を実施した。その結果、遡上速度は、潜孔部の流速と比例関係にあり、0.22~0.92m/sであることがわかった。遡上時の遊泳速度は体長の8.0倍~32.1倍であった。突進速度(数秒間維持できる最大遊泳速度)の目安となる10BL(BL:体長)よりも大きな遡上速度をもつ個体が多いことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)